佐鳥電機【7420・東1】国内外で各種デバイスを提供するエレクトロニクス商社 高付加価値ソリューション、自社製品等で高収益を狙う


 佐鳥電機は、集積回路・半導体等の電子部品、PC・制御製品等の電子機器などを取り扱う老舗の専門商社だ。機器向けの組み込みソフトウェア開発やシステム設計を行う技術力を持ち、無線やセンシング技術を核とした自社製品を開発するメーカーの機能も併せ持つ。海外はアジア、アメリカ、ヨーロッパに9拠点を置き、22年1月には成長著しいインド市場に参入。グローバル市場の拡販を図る。


 

佐鳥 浩之社長

プロフィール◉さとり・ひろゆき

1966年7月生まれ、成蹊大学卒業。89年に日本電気に入社。95年に佐鳥電機に入社、2002年取締役、07年に常務、11年に専務執行役員、12年に副社長を経て、2013年に社長代表取締役社長兼CEO、20年8月に代表取締役 社長執行役員に就任(現任)。 





 

売上の8割占める

デバイスソリューション事業


 同社の2021年5月期の連結の売上高は1058億4300万円、営業利益は8億9900万円、経常利益は11億3900万円。セグメント別では、半導体関連や電子部品製品等の仕入・販売の「デバイスソリューション事業」が約856億円、制御機器やFA(工場内自動化)・システム関連ユニットの開発・設計などの「システムソリューション事業」が約202億円。前者が売上の8割を占めて大きいが、現在、システムソリューション事業を伸ばすことに注力している。

「デバイスソリューションは各種デバイスを売る事業で、そのご提案はできているのですが、もう1つ、無線技術によって計測データを集約しデータの利活用を可能とするなど全体をソリューションとして提供する、我々の付加価値も付けて売ることが出来るシステムソリューションの領域を柱にすることを考えています。そのため、デバイスの技術の人間をシステムに異動する人的投資をしています」(佐鳥浩之社長)


台湾大手EMSメーカーの受注に強み持つ


 同社は1947年、日本電気、住友電工の代理店として創業し、日本の半導体メーカーが世界をリードしていった勢いとともに事業を拡大。リーマン・ショック以降、市場がシュリンクする中で、新規商材の導入や重点領域の拡大など、ポートフォリオの再構築を進めている。現在の主要仕入先はNECグループをはじめ、パナソニック、住友電工、トーキンなど。主要取引先はキヤノン、パナソニック、リコーなどのエンタープライズといわれる大手日本企業や、台湾の大手EMS(電子機器受託製造サービス)企業が上位を占める。

「台湾には1969年にいち早く進出し、いわゆる日系企業さんの現地サポートではなく、ローカルのお客様に対してのビジネスを展開してきました。現在もコンパル・エレクトロニクスさん、クアンタ・コンピュータさん、ホンハイさんなどの大手のEMS企業から大きな需要が取れています」(同氏)

 高い専門技術を持つ同社は、自社で、あるいはパートナー企業と共同での製品開発を行っている。大手鉄道会社の研究所と共同開発した「無線傾斜センサ」は遠隔監視を可能とし、近年多発する災害予防、公共インフラの安心・安全に関わる商材だ。

 また自動車向けのIoTソリューションでは、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)のサービス提供を進めている。TPMSは自動車のタイヤ空気圧をリアルタイムで監視するシステムで、事故防止のほか、二酸化炭素の排出抑制などの効果もある。既に欧州やアメリカ、韓国、中国では義務化されており、日本でも法整備が検討されている。

 同社は中期経営計画で『エレクトロニクスを通して「安全」「安心」「快適」な社会の実現』を掲げており、産業インフラ、エンタープライズ、モビリティの3分野が注力領域となっている。



2023年度営業利益は

25億円以上を目指す


 22年5月期は業績好調で連結売上高を1165億円から1240億円へ、営業利益を14億5000万円から18億円に上方修正した。その要因の1つはコロナ禍でリモートワークが増加し、PC周辺の受注が拡大したこと。2つ目は世界的なデジタル化に伴い、旺盛な半導体需要が続いていること。さらに3年ほど前から開始した『調達サービス』が成果を上げてきており、今期の売上高は204億円を見込んでいる。

「商社の機能は二つあり、我々が使っている商材をどうお客様の製造装置の中に使っていただくかというデザイン・インといわれる提案活動。そしてお客様のものづくりのお手伝いをするサプライチェーンマネジメント(SCM)です。SCMは通常、お客様の生産計画を取りまとめたものがアウトプットされますが、調達サービスはお客様のSCMの一部に我々が入り込んでやっています」(同氏)

 海外は台湾・香港・韓国・中国・シンガポール・タイ・アメリカ・ドイツに9拠点を持ち、売上高の海外比率34%を占める同社が、次の参入市場として選んだのがインドだ。

 22年1月、インドのシリコンバレーといわれるベンガルールにある商社SMエレクトロニクス社への25・1%の出資を発表した。SMEL社は、インド国内でスマートメーターや二輪メーカーの顧客への販売網を持つ。

「SMEL社は結構な人数が技術系で、今年度は100億円弱の売上高を見込んでいる会社です。まずは当社が代理店となっている外資の車載用センサIC商材からスタートし、商材を増やしていこうと考えています」(同氏)※

 大手エンタープライズへの既存ビジネスをベースに、社会課題の解決につながる産業インフラ、注目市場であるモビリティ領域の拡大、高付加価値なシステムソリューション事業への注力、海外市場の強化などで高収益化を図り、23年度の営業利益25億円以上を目指している。



 

2021年5月期 連結業績

売上高

1058億4300万円

前期比 1.2%減

営業利益

8億9900万円

同 75.5%増

経常利益

11億3900万円

同 128.0%増

当期純利益

5億2000万円

同 892.0%増


2022年5月期 連結業績予想

売上高

1240億円

前期比 17.2%増

営業利益

18億円

同 100.1%増

経常利益

20億円

同 75.5%増

当期純利益

15億円

同 188.2%増

※株主手帳4月号発売日時点