• 株主手帳編集部

八洲電機【3153・東1】20年3月期、過去最高益を更新「コーポレートイン」を強みに利益成長

 八洲電機が2020年3月期の営業利益・経常利益において、09年の上場以来の最高益を更新した。日立特約店の技術商社である同社は、顧客密着体制の「コーポレートイン」を強みとし、顧客のニーズに応じた付加価値の高いソリューションを提供するエンジニアリング会社として利益成長を続けている。

太田明夫 代表取締役会長兼社長

Profi le◉おおた・あきお

1971年3月、同社入社。20 01年4月、同社

執行役員産機営業本部長。2004年4月、同

社常務執行役員。2005年6月、同社取締役。2006年4月、同社専務取締役。2012年8月、香港八洲電機有限公司董事長を兼任。2013年4月、同社代表取締役社長。2017年4月、同社代表取締役会長兼社長(現任)。




技術力を強みとする

エンジニアリング商社に


 八洲電機は1946年に創業した日立特約店の技術商社だ。日立グループの製品を中心に様々なメーカーや協力会社の製品を組み合わせてソリューションとして提供している。

 元々は鉄鋼、石油などの分野において大手製鉄所、大手石油精製所などのプラントのソリューションや設備更新を手掛けてきたが、近年は化学、電気機器、鉄道会社など幅広い分野の設備新設やリニューアルなど対応エリアを拡大している。

 ここで同社が提供しているソリューションの1つを紹介しよう。それはある大規模プラントの入退室管理における顔認証システムの導入だ。定期修繕や設備更新の時期になると多数の関係業者がトラックや乗用車で出入りするため、入場ゲート付近や周辺の道路が渋滞することに苦慮していた。

 この問題に困っているという声を聞き顔認証システム導入につなげたのが、「コーポレートイン」として常駐している八洲電機の社員だ。

「大規模プラントの定期修繕となると1日6000人ぐらいが入退場するのですが、この人々が入場ゲートで車から降り、守衛のいる受付で氏名や行き先を伝えて入場登録し…と非常に手間がかかっていました。そこでこの問題が何とかならないかという相談を当社のコーポレートインの社員が受け、顧客の現場と一緒になって顔認証システムの開発に取り組み導入が実現しました」(太田明夫社長)

 コーポレートインとは、専門技術者を顧客の事務所内に常駐させる顧客密着体制のこと。コーポレートインの起点は、同社が上場を目指して準備を始めた2007年ごろに遡る。この頃より、同社は日立製作所から定年退職した技術者を積極的に採用し、技術力を強みとする「エンジニアリング商社」への転身を図ったのである。

「それまでは普通の特約店でしたから競争ばかりでしたが、技術で生きると決め、日立から来たトップエンジニアを顧客の現場に投入しました。当社の強みである技術力とはお客様にメリットを与えられる力。それには現場に精通していなければできません。このエンジニアたちの活躍が高く評価され、『八洲さんに任せよう』と継続的に受注が来ている。この『競争のない世界』を多くの現場で実現していることが当社の利益の源泉です。営業出身の私は今でも営業の現場に足を運んでいますが、当社のエンジニアの働きが顧客の収益に貢献しているという話を聞くととてもうれしいですね」(同氏)


管理部門を強化

社外から人材登用


 コーポレートインにより顧客との信頼関係を構築するとともに、太田氏が社長になって注力したのが管理部門の強化だ。副社長や取締役に社外から採用した人材を登用している。

「一番重要視しているのがリスク管理であり、管理部門が完璧であることが一番大事だと思っています。管理部門がしっかりしていないと不正や事件が起きます。最高益を出していくには管理部門の強化が一番大事だと考えています」(同氏)

 その成果として、19年度に続き2年連続して「健康経営優良法人2020(ホワイト500)」に認定された。これは経産省と日本健康会議が共同で特に優良な健康経営を実践している法人を選ぶ制度であり、同社においては従業員と家族のからだの健康、所定時間外労働時間の更なる減少や有給休暇取得の更なる向上等の職場の健康、メンタルヘルス等の心の健康への取り組みが評価された。他にも、東京都の健康企業宣言推進協議会より、健康優良企業として「金の認定」を受けている。

 また、利益改善を推進するとともに社員還元を手厚くしているのも当社の特徴だ。

「従業員のモチベーションを上げるため、7 年連続でベースアップしています。新橋の本社ビルを新社屋に建て替え、子会社のビルも新しくしました。働く環境は大事であり、優秀な人材獲得に貢献していると思います」(同氏)


今期期末配当は

1株当たり20 円据え置き


 同社は今年7月、コロナ禍の影響により未定としていた21年3月期の業績予想および配当を発表。八洲電子ソリューションズ社の株式譲渡により売上高、営業利益、経常利益においては減収減益となるが、当期純利益は増加する見込みだ。今期の期末配当予想は1株当たり

20円に据え置いた。

 また、20〜22年度をターゲットとする中期経営計画を発表。社会に貢献するエンジニアリング会社として顧客とともに未来を創ることをビジョンに掲げている。同社は株主優待制度も導入しており、中間期に当たる9月末の株主(100株以上が対象)に対して、保有株式数および継続保有期間に合わせて「東北復興支援活動への貢献」をテーマにした優待品を

贈呈している。

「最高益更新は長年培ってきた技術力によるもの。今後も顧客のニーズに対応し付加価値の高い技術・サービスを提供していきたいと考えています」(同氏)



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