• 株主手帳編集部

共同印刷【7914・東1】出版・商業からICカード、生活産業資材、BPOサービスまで幅広い製品・ソリューションを扱う120年超の総合印刷会社

 共同印刷(7914)は、漫画や雑誌の出版、商業印刷を主軸に伸長してきた老舗の総合印刷会社だ。近年は、歯磨き粉チューブで国内のトップシェアなど、出版以外の分野も伸長。120周年を迎えた2017年には、新コーポレートブランド『TOMOWEL(トモウェル)』を発信し、BPO事業など、印刷に留まらない領域を拡大させている。



藤森康彰社長

PROFILE ふじもり・よしあき

1949年5月生まれ、青山学院大大学院修了。1976年に同社入社。1998年に法務部長、2004年に取締役、2006年に常務取締役、2010年に専務取締役を経て、2013年、同社代表取締役社長に就任(現任)。






総合印刷業として 新コーポレートブランドを発信


同社の創業は、1897年。紙の出版印刷から始まり、現在は、領域ごとに3つの部門に分かれている。 『情報コミュニケーション部門』は雑誌、コミックス、教科書、絵本などの出版から、カタログ、チラシなどの商業印刷を扱う。とくに近年の紙媒体の市場縮小に伴い、海外展開を含めた電子書籍、デジタルコンテンツ事業に注力している。『情報セキュリティ部門』は、帳票、伝票などのビジネスフォーム、通帳や宝くじなどからICカード、クレジットカードなどの印刷、またダイレクトメールなどの宛名印刷から始まったBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスを提供している。『生活・産業資材部門』はパッケージ商材を扱い、チューブや紙容器、医薬・産業資材、高機能性フィルム、プラスチック関連製品、内装 材、化粧板などがある。 「現在は、『情報コミュニケーション部門』『情報セキュリティ部門』『生活・産業資材部門』が3〜4割ずつというバランスよい構成比となっています。また、顧客業種も、製造業や出版、金融、サービス、小売業、運輸など多岐にわたっています」(藤森康彰社長)  2017年の創業1 2 0 周年を機に、コーポレートブランド『TOMOWEL(トモウェル)』を導入した。TOMOWELの『TOMO』は日本語の『とも(友・知・智)』でもあり、共同印刷の『共』でもある。『WEL』は英語の『Well』の古語(良い・満ち る・親しみ)』を使っている。「従来の印刷業にない領域で事業に広げていく中で、社名が『共同印刷』だけだと、〝印刷会社さんにこのようなことまでお願いしてよいのか?〞といわれることも起きて来たのですね。そこで新しいコーポレートメッセージとして『TOMOWEL(共にある、未来へ)』を発信することにしました」(同氏)


容器チューブで トップシェアを獲得


同社は、歯磨き粉用チューブで国内トップのシェアを占めている。オーラルケア市場は虫歯予防、歯周病ケア、美白など機能の多様化で年々、国内外で上昇しているが、同社は需要の高いアジアでも展開している。現在、ベトナムとインドネシアに計3カ所の生産拠点を持ち、日系企業および現地で生産を行うグローバルメーカーに対してチューブの供給を行っている。 「当社は、成型後の製品を納品していますので、国内で作って海外に出すと〝空気を運ぶ〞ようになってしまうのですね。アジアでは、歯磨き粉のほか、日焼け止めなどのUV製品の販売量が伸びています。とくに日本の商品では、チューブをはじめとする容器にも日本品質が求められており、そういったニーズにこたえていきたいと思っています」(同氏)  また各種ICカードを扱い、とくに交通系ICカードの開発、製造に強みを持っている。交通系ICカードは、近年、海外からの訪日外国人が、都市部の移動手段に交通系カードを使用することが多く、旅行後には、そのままお土産として持ち帰る。そうしたインバウンド効果で、交通系ICカードの回転率が上がっているという。












▲チューブの継ぎ目にも印刷可能でシーム部が目立たない



BPO事業が好調 ソリューションサービス推進


2019年3月期の同社の連結売上高は、前年同期比2・8%増の977億8200万円、営業利益は同40・5%減の10億2700万円となった。減益の要因は、情報コミュニケーション部門での紙媒体が減少と、新設した守谷第一工場の軟包装専用棟の立ち上げが予定通りに行かなかったことだという。 「紙器と軟包装の生産拠点である守谷第一工場は老朽化が進んだため、大幅なリニューア ル工事を行いました。しかし軟包装の設備増強に見合う人員確保ができずに、生産効率が 低下、また紙器の印刷方式変更に対してオペレーターのスキルが追い付かなかったことか ら収益性が悪化しました。現在は正常に戻りつつあり、来期には適正な利益が出せると思います」(同氏)  今後は、好調のBPO事業で、現在の金融機向けに事務局運営・発送・データ管理などを一括して代行する業務支援サービスを、成長市場の医療・ヘルスケア系に拡大。さらに販促物に関わって来たノウハウを活かしたBPO事業も進めている。 「2013年にTSO(トータルソリューションオフィス)という組織を立ち上げ、社内に分散する知見を統合し、顧客の販促支援や業務支援に有効な施策をパッケージとして提供しています。今後さらに、マーケティング力の強化や、AIを活用したサービスの開発など を進めていきたいと考えています」(同氏)  なお、同社は中期経営計画で、2020年度までに連結売上高1080億円、営業利益 35億円、経常利益42億円を目標としている。










▲守谷第一工場新棟の外観