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古河電池【6937・東1】古河電工系の蓄電池メーカー 自動車用鉛バッテリーが国内外で好調

 自動車バッテリーや産業用蓄電池として広く使われている鉛蓄電池。その市場の国内シェア3位、世界シェア10位に位置するのが古河電池だ。国内外での自動車用鉛蓄電池の販売が好調なことから2018年度通期売上高は過去最高を達成。近年は海外比率をさらに高めるべくブランド浸透を図っている。




Profile●おの・しんいち

1955年4月生まれ。福島県いわき市出身。78年4月防衛庁入庁。91年同庁を退庁し、古河電池に入社。2012年6月 取締役執行役員技術開発本部長、14年6月取締役常務執行役員技術開発本部長、16年6月取締役専務執行役員技術開発本部長に就任。17年6月代表取締役社長に就任(現任)。






海外展開に注力 タイ、インドネシア進出


 古河電工系の蓄電池メーカーである古河電池は、1914年に古河電工が兵庫県尼崎市に電池製作所を開設したことをルーツとし、50年に同電工の電池部門が独立して発足した。100年以上の歴史を通して培った技術と研究開発力を強みとし、幅広い分野の蓄電池を手がけている。

 現在のセグメントは、自動車事業、産業事業、不動産、その他の4つ。2019年3月期の売上高636億円のうち、主力の自動車事業が7割強を占め、産業事業が3割弱を占める。

 自動車事業では、日本国内においてトヨタ、ホンダ、スズキなど新車メーカー向け、また契約代理店等を取引先とする取り換え需要、補修対応の自動車用鉛蓄電池(環境対応車用を含む)を製造販売する。また、海外はタイとインドネシアに進出。タイでは、社名のフルカワバッテリー(FB)から名付けた『FBバッテリー』ブランドの構築プロジェクトを展開する。タイ国内の自動車用鉛蓄電池のシェア3割を占めており、競合の蓄電池メーカー、ジーエス・ユアサコーポレーションのシェア5割強に次ぐ。

「タイの子会社はここ10年ほど堅調に推移していて、売上170億円ほどに成長しています。インドネシアでは15年に新工場を竣工しました。18年3月期は低調でしたが、立ち上げを加速して伸長を目指しています」(小野眞一社長)

 

インドネシア子会社FIBM

 









タイ子会社SFC










 一方の産業事業では、産業用の鉛蓄電池やアルカリ蓄電池等の製造販売等を手掛ける。JR東日本の秋田、山形、北陸新幹線等に採用されている鉄道車両用アルカリ蓄電池は同社の製品であり、総売上高の約7%を占める稼ぎ頭となっている。

 近年注目されるリチウムイオン電池については、人工衛星用リチウムイオン電池の開発に成功。今年2月に小惑星リュウグウへのタッチダウンに成功した探査機「はやぶさ2」や初代はやぶさに搭載された。人工衛星の打ち上げ時の衝撃に耐えられる電池として高く評価されている。


 世界における鉛蓄電池の市場規模は4兆円強、リチウムイオン電池の市場規模は約

1・5兆円(17年実績、富士経済調べ)。国内の自動車用鉛蓄電池の市場推移はほぼ横ばいだが、海外では新興国を中心にガソリン車の需要が旺盛であり、それに合わせて鉛蓄電池も底堅い需要が予想されている。

「当社では、国内の自動車用鉛蓄電池の販売を引き続き拡大させるとともに、成長が期待できる海外市場での展開に一層注力します。リチウムイオン電池の分野では、産業用鉛蓄電池からの置き換え等の提案も将来を見据えて視野に入れています。電源不要で自販機を稼働できるバッテリーユニットの開発なども行っています」(同氏)


自動車用バッテリーECHNO(エクノ)EN

 











 



 19〜21年度の3カ年をターゲットとする中期ビジョンでは、「海外拠点の安定的成長」「人材育成による革新力の蓄積」などを重点施策とし、最終年度の21年度には過去最高の売上高708億円、営業利益46億円、海外売上高比率41%(現在は35・5%)の達成を目指す。

 最大の柱は、インドネシア子会社の安定だ。現在は数十億円の規模だが、将来的には80〜100億円の売上に伸ばしたい、と小野社長は語る。現在、インドネシアの自動車用鉛蓄電池市場では、40年程前に進出したジーエス・ユアサコーポレーションがシェア6割程度を占めている。その牙城を切り崩すため、FBブランドの浸透に向けた戦略を展開していく。ま

た、次の展開を見据えてベトナムの鉛蓄電池メーカーの株を10%ほど取得している。


社外出向やMBA社内留学でグローバル人材育成


『100年に一度の大変革の時代』に入ったといわれる自動車業界。自動車事業が主力の同社も、環境の変化に対応できるグローバル人材育成の施策を展開している。

「社員数名を大手メーカー等に出向させて社外を経験させる〝サクラマスプロジェクト〞を行っています。また、早稲田大学のMBAコース取得の社内留学制度も創設しました。100年以上続く鉛蓄電池の会社だけに保守的な体質なので、変革に必要な人材を育てています」(同氏)