• 株主手帳編集部

大日本塗料【4611・東1】橋梁など構造物の高耐久塗料でトップシェアさびを削らない新発想のメンテが好調

 橋梁などの社会インフラ構造物向けの塗料開発、製造販売で国内トップシェアを誇るのが大日本塗料だ。「あべのハルカス」といった超高層ビルや「東京スカイツリー®」などの大規模建築物にも強く、同社の塗料が使われている。里隆幸社長は高付加価値な塗料で業績

を拡大させていくと語る。




里 隆幸社長



さと・たかゆき

1961年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部応用化学科卒業。鹿児島大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。鹿児島大学理工学研究科博士号(工学) 取得。1984年大日本塗料株式会社入社。2011年に執行役員、2012年に取締役、2016年に常務執行役員、2018年に専務執行役員などを経て、2018年6月に代表取締役社長就任。





東京ゲートブリッジの塗料に採用

 

同社は1929年に設立し今年で90周年を迎える老舗企業だ。事業は国内塗料、海

外塗料、照明機器、蛍光色材、その他の5つで構成されている。業績は2018年3

月期ベースで連結売上高(2018年3月期)が741億円、営業利益で65億円となっ

ている。

 中でも同社の主力事業といえるのが売上高の約7割を占める国内塗料事業だ。

 塗料メーカーは国内では日本ペイントや関西ペイントなど様々な企業があるが、同社

ならではの強みは、橋梁や高層ビルなどの大型の構造物や建築材料に強い点。「特に構

造物分野では3割程度のトップシェアとなっています」と里隆幸社長は語る。

 構造物で同社の塗料が使われている代表的な事例として全長2618mの巨大な橋で

ある東京ゲートブリッジがある。建築物では、先に挙げた東京スカイツリー®、虎ノ門

ヒルズなどがある。また、新幹線車両、JR九州の観光列車「或る列車」、今年3月に

デビューした西武鉄道の新特急「ラビュー」にも塗料が採用されている。社会や生活を

支えるための優れた塗料を豊富に有する。


塗料が採用されている事例の1つ、東京ゲートブリッジ

 同社の塗料が選ばれる理由は「重防食」性能。「金属が錆びることを腐食といいます。

これを防ぐことが防食。20年以上の長期間の耐久性を持ったものを重防食といいます。

例えば海上橋梁ですが、私どもの塗料では海塩粒子による腐食環境でも20年以上耐久性

を有します」(同氏)


常識覆す塗料サビシャット


 新設物件での採用はもちろんだが、今伸びているのがメンテナンス市場での採用だ。そこで今販売に注力している商品が「サビシャット」だ。これは里社長自らが開発を手掛けた商品でもあり、従来の常識を覆したものだと語る。

 「鉄がさびたら、まずはブラストというさびを削り取る作業が必要になるのですが、この作業は労力もかかれば、騒音、粉塵も発生します。サビシャットは脆弱なさびを簡単に落としたら、その上に塗装する塗料。さびの上から塗装するというのは異例な考えなのですが、それでも十分な防食効果を発揮することが分かっています」(同氏)

 この商品は国交省の新技術情報提供システムに登録され、2015年度には推奨技術としても選定。「それから一気に売れ出しました」(同氏)

 例えば立体駐車場のメンテナンスでは、さび削りをすれば粉塵が舞い、車にかかってしまう。このような場でサビシャットは効果を発揮する。また、大がかりなさび削りは危険が伴う化学プラントなどでもメンテしやすいということで採用されている。



明石海峡大橋にも採用されている

 建築物の塗装においても独自性の高い差別化塗料を展開。例えば、「神戸国際交流会

館」の塗り替えで使われたメタリック塗料は色材協会の技術賞を受賞。1981年に竣工した建物の劣化した外観を業界で初めてローラー塗装で実現し、竣工時の高輝度なメタリック意匠を蘇らせる。

 「こういうメタリックなものは自動車塗料の技術。このような意匠をローラー塗装で実現するのは難しいとされてきましたが、開発力を生かして実現しました。老朽化した建物はテナントが離れていきます。それが蘇ればまた戻ってくる。老朽中高層ビルにソリューションを提案していきたい」(同氏)

 

2020年3月期に営業利益率10%へ

 

 足下の第3四半期決算(2018年4月〜12月期)では売り上げが前年同期比ほぼ横ばいだが、営業利益が9%減、経常利益が3・5%減。原材料価格の高止まりなどが利益を押し下げた。通期の業績もこの影響を受け、売上高は0・5%減の737億4000万円、営業利益8・5%減の60億3000万円、経常利益2・8%減の62億1000万円、純利益は21・3%減の36億円を見込む。

 中期経営計画では2020年3月期には売上高800億円、営業利益率10%の80億円を目指している。そのために推進するのは高収益で高付加価値な塗料の開発だ。来年4月には研究開発センター(新素材センター、防食センター)の竣工を予定している。

 「昨年社長に就任して以来、カスタマーファーストを合い言葉にしてきました。課題解決力の高い商品開発を実現することで、収益力を高めていきたい」(同氏)

 また売上高

10%を占める海外事業も伸ばす方針。海外はまだ比率が低いが、伸びしろがある事業。売上高比率が一番高いタイにおいて、今研究開発のラボを造っている。

 「今ある技術を改良発展させ製品化させることで高付加価値商品を提供していきます」(同氏)


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