大末建設【1814・プライム】分譲マンション施工は業界トップクラスの実績 DXを推進し2030年売上高1000億円へ


 大末建設は、関西を地盤にマンション施工などを手掛ける総合建設会社だ。2022年3月期は売上高、営業利益とも前期比2割増と好調に推移している。村尾和則社長は20年の社長就任後、従来の守りの文化から成長路線への転換を図り、積極的な株主還元を始めとする様々な改革を実施。30年の売上高1000億円達成に向け確固たる強みの構築にチャレンジしている。


 

村尾 和則社長

プロフィール◉むらお・かずのり

1965年1月24日生まれ、大阪府出身。近畿大理工学部卒。88年大末建設入社。執行役員などを経て2015年取締役、18年常務執行役員に就任。20年代表取締役社長(現任)、執行役員社長に就任(現任)。







 

住宅、非住宅、リニューアル

3つの事業領域を展開


 大末建設は、住宅、非住宅、リニューアルの3つの事業領域を展開している。2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比23・3%増の696億4500万円、営業利益が同22・3%増の27億800万円となっている。

 主力の住宅分野では、分譲・賃貸マンション、公営住宅、社宅・社員寮などを手掛けている。中でも得意とする分譲マンションの施工は業界トップクラスの実績があり、野村不動産、三菱地所レジデンスを始めとする大手不動産会社を顧客とした高い施工品質と豊富なノウハウを特徴とする。

 第2の柱である非住宅分野では、オフィスや物流倉庫、工場、医療・福祉施設などの幅広い分野の建物を手掛けている。

 第3の柱のリニューアル分野では、既存建物の補修や増改築、耐震改修などを行っている。

 前期(22年3月期)の分野別売上高は、住宅分野が売上比率64%の446億1900万円、非住宅分野は同26%の182億8100万円、リニューアル分野が同8%の54億1000万円となった。


積極的にチャレンジする

企業文化の構築を推進

 

 同社は22年3月に創業85周年を迎えた老舗企業だ。1937年に創業者の山本末男氏が、現在の大阪府松原市に創業した山本工務店を前身とし、民間建築を主軸に業容を拡大。60年代に大証、東証に上場し、97年3月期には過去最高の売上高1682億円を達成した。

 しかし、バブル崩壊に伴い建設市場が縮小傾向に転じたため、同社はマンション施工に特化する形で業績を確保してきた。長らく低迷の時期が続いたが、2020年に村尾氏が社長に就任。「成長する」「強みを持つ」「チャレンジする」の3つを掲げ、従来の現状維持路線から成長路線に大きく舵を切った。

「現状維持は衰退であり、常に成長していかなければなりません。オールラウンドに仕事ができるというのは本当の強みではなく、成長には当社しかできない確固たる強みを持つことが必要です。変化や失敗を恐れず、積極的にチャレンジする企業文化の構築を進めていきます」(村尾和則社長)


ミサワホームと資本業務提携

シナジー効果見込む


 同社は、2030年ビジョン「安心と喜びあふれる空間を創造する会社」と売上高1000億円の実現を目指し、その第一ステップである中期経営計画(21年3月期~25年3月期)に取り組んでいる。

 同中計では、非住宅分野とリニューアル分野を成長エンジンと位置付けた施策を展開。マンション市場が構造的に縮小する中で、住宅分野における売上規模を維持しつつ、非住宅・リニューアル分野の強化を加速させていく。

 その鍵となるのが、ミサワホームとの資本業務提携だ。現在、ミサワホームは同社の発行済株式の19・24%を保有する筆頭株主となっている。ミサワホームは既存の戸建住宅事業に加えてリフォーム事業やまちづくり事業を推進。両社の協業により、リフォーム分野や非住宅分野などでシナジー効果が見込まれている。

「非住宅は競争が激化している分野ですが、主力の住宅分野の売上規模を堅持しつつ、競争領域を拡大していく。現在の営業利益率3%台を5%に引き上げる施策に取り組んでいます」(同氏)

 具体的な施策としてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進。今年4月、村尾社長自ら本部長となるDX推進本部を設立し、営業、施工、設計のDXに取り組んでいる。現中計期間中に50億円の成長投資を計画している。

「営業DXでは、見積スピードや積算精度を飛躍的に高めるシステムを構築します。設計や施工ではBIM※を拡大し、効率化する。必ず結果を出すという強い意志で取り組んでいます」(同氏)

 また、建設業以外の新分野の開拓も進めている。訪問看護事業を手掛ける子会社「やすらぎ」(東京都江東区)は、社内プロジェクトチームが企画し設立された。新規事業企画部も発足し、新たな強みの構築を進めている。


株主還元方針見直し

配当性向50%以上へ


 村尾社長が就任後、プライム市場上場を目指して株主還元に対する方針を見直したことも大きな変化といえる。21年3月期は配当性向26・2%、年間配当金40円、22年3月期は同34・6%、年間配当金60円と増やしており、23年3月期以降の配当性向52・7%、年間配当金100円(予想)とする株主還元策を打ち出している。

「配当性向50%以上をお約束し、今後は業績を上げていくことに尽きると考えています。多くの方々に当社を知っていただくよう、情報発信にも注力していきます」(同氏)


※Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称。従来の設計はまず2次元で行い、そこから3次元を立ち上げる手法だが、BIMは最初から3次元で作成し、建物の形状情報(柱、壁、鉄骨など)と属性情報(寸法や仕様など)を含んだBIMモデルを作り建築生産や維持管理に活用する。



▲非住宅分野の竣工事例





▲リニューアル分野の竣工事例(before→after)


 

2022年3月期 連結業績

売上高

696億4,500万円

前期比 23.3%増

営業利益

27億800万円

同 22.3%増

経常利益

27億1,200万円

同 22.2%増

当期純利益

18億1,600万円

同 13.3%増


2023年3月期 連結業績予想

売上高

775億円

前期比 11.3%増

営業利益

29億円

同 7.1%増

経常利益

29億2,000万円

同 7.6%増

当期純利益

19億9,000万円

同 9.6%増

※株主手帳8月号発売日時点