• 株主手帳編集部

ヒノキヤグループ【1413・東1】成熟した国内住宅市場で、時代のニーズを捉えたM&Aと開発力で成長


住宅着工件数が減少し、大手ハウスメーカーが海外市場や非住宅分野に注力する

中、ヒノキヤグループ(1413)は、国内注文住宅を主軸に10年間で売上高をほぼ6倍に

伸長させた。昨年始めた、新時代冷暖システム『Z空調』の外販事業も好調。積極的な

M&A戦略が、グループ全体のシナジーを創出している。





こんどう・あきら 1967年兵庫県生まれ。91年慶應義塾大学

商学部卒業。91年千代田生命保険(現・AIGスター生命保険)入社後、ユナム・

ジャパン傷害保険(現・日立キャピタル損害保険)を経て2001年同社入社。専

務取締役、副社長を歴任し、09年代表取締役社長に就任(現任)。





名証上場からM&A戦略を加速


 同社の前身は、在来木造住宅の設計、施工、販売を主業とする桧家住宅。2007年の証2部へ上場後、積極的なM&Aで事業領域と業績を拡大させて来た。現在、注文住宅事業メインに、⼾建分譲・賃貸住宅などの不動産事業、断熱材事業、リフォーム事業ほかを展開している。


 「当時の桧家住宅は、注文住宅で建て替え需要を狙っていたような会社でした。土地を買って家を建てる人、建売を買う人など、土地を持たないお客様をどう我々の顧客にしていくか、考えました」(近藤昭社長)


 2018年12月期の連結売上高は前期比5・0%増の1102億5900万円、営業利益は同30%減の44億300万円、経常利益は同30・1%減の43億8600万円。セグメン別では、主力の注文住宅事業が610億3700万円、不動産事業232億9900万円、断熱材事業194億1700万円、リフォーム事業35億900万円とその他となっている。断熱材の原価の高騰や、建材の入荷先が台風で被災し住宅の完成棟数が翌期にずれたこと等で計画を下回った。

 

 売上の半分超を占める注文住宅事業は、3つのブランドで展開している。

『桧家住宅』は木造の注文住宅。平均価格は約2200万円で、年間2000棟程度を販売。全国130以上の住宅展示場に出展し受注活動を行う。販売エリアは、首都圏から郊外を中心に東日本地域が直営。2018年12月期の売上高は463億9805万円。そのほか地方では17社がフランチャイズ展開している。



Z空調を搭載した 室内の例

 

『パパまるハウス』は、2014年に買収。木造で平均価格は1500万円と安い分、規格性が高く、標準プランで対応する。エリアは新潟・上信越・北関東など、地価があまり高くない地方が中心。年間1000棟弱を販売し、売上高は184億823万円。


 『レスコハウス』は、2016年に買収。工場生産されたコンクリートパネルを現場で組み建てる、PCパネル×WPC工法の鉄筋コンクリート住宅で半世紀の歴史を持つ。木造より高価だが、耐震、耐火、劣化に強く、遮音性に優れる。主に東京、千葉、神奈川などの首都圏の立地が良いエリアの土地オーナー、デベロッパーから受注。販売数は年間100棟弱で、そのうち10~20棟は賃貸向けだという。

 

「M&Aで重視するのは、グループでシナジーを得られるかどうか、既存のビジネスとエリア的にも商品的にも補完し合えるか、という点です。『パパまるハウス』は、価格帯が桧家よりも安く、地方に

強い。もしかしたら桧家よりも速いスピードで全国展開するかもしれません。『レスコハウス』は、鉄筋コンクリート造なので災害にも強く、都心の賃貸としてのニーズがあります。今後もM&Aは、幅広く考えていきます」(同氏)


木造住宅の高気密・高断熱化で『Z空調』を開発


2009年、発泡硬質ウレタンフォームでシェアトップの日本アクアを買収した。日本アクアが販売・施工する『アクアフォーム』は、水を使って現場で発泡させる断熱材。リーズナブルな価格で、住宅の気密性、断熱性、吸音性などを高められる。



Z空調を搭載した 室内の例


 「アクアフォームは、非常に優れた特性をもち、環境や省エネという時代の流れに乗った商品です。日本アクアも『ヒノキヤグループの住宅に採用し上手くいった』という

実績を持って全国展開できますので、双方にシナジー効果がありました」(同氏)

 住宅の躯体にすき間なく吹き付けるアクアフォームの採用で、木造住宅で高気密・高断熱化を実現できるようになった。そこで同社は、アクアフォームを使った住宅向けの新時代冷暖システム『Z空調(ゼックウチョウ)』を開発。Z空調は、エアコン2台で30坪の2階建て住宅の全ての部屋の温度をコントロールできるオリジナルシステム。ダイキン工業が空調を、協立エアテックが換気部分の技術を担い、同社が特許を取得した。

 

「日本の住宅は部屋ごとに冷暖房を行うため温度差が発生し、冬はヒートショック、夏は熱中症などの問題があります。しかし今の日本の技術をもってすれば、コストをかけずに全館空調ができると考えました」(同氏)

 現在、Z空調は桧家住宅の9割、パパまるハウスで7割の住宅に搭載されている。また昨年11月から、設立した新会社『日本ハウジングソリューション』により、全国の工務店に外販を始めた。テレビCMなどのプロモーション展開で業界認知度も高く、とくに地方の会社から引き合いが多いという。

 

「新規導入はもちろん、今までにアクアフォームを採用している全国各地の住宅への提案もしていきます。Z空調、アクアフォームは、快適な住宅のあるべき姿だと思っています。今後、我々が住宅のスタンダードになりたいと考えています」(同氏)






住宅業界の課題をビジネスチャンスに


 現在同社は、住宅の基礎部分のプレキャスト化を進めている。木造住宅の基礎は現場で木枠を組んでセメントを流し込む、属人的な工法。職人不足が深刻な中、工場生産によるプレキャスト化は、工期とコストの削減に直結する。

 「レスコハウスでコンクリートを扱うようになって開発を始めています。職人不足は大きな問題ですが、裏返しのニーズがあると思います。まずはグループで導入し、上手くいけば、将来的には外販も考えています」(同氏)

 

住宅市場は、大手ハウスメーカーがプレハブ住宅を規格化する一方、在来の木造住宅は設計の自由度が高く工法もオープンだ。ニーズに合った商品や工法等を開発すれば、多くの工務店で採用されるビジネスメリットがある。


 「全体的なパイは小さくなってくると思いますが、上位メーカーでもシェア率3~4%で、プレイヤーの多い業界です。やり方次第では、まだまだ伸ばせる事業があると思います」(同氏)

 中期経営計画『NEXTSTAGE 2022』では、2022年12月期に売上高2000

億円、営業利益150億円、経常利益150億円の目標を掲げている。



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