• 株主手帳編集部

日本コンピュータ・ダイナミクス【4783・JQ】創立50周年超の老舗独立系SI駐輪場運営と両輪で9期増収

 システム開発が祖業の日本コンピュータ・ダイナミクス(4783)は、長年の取引先を中心としたシステム開発/運用・保守サービスと、駐輪場管理ビジネスの2軸を合わせた安定的な収益構造を持つITサービス企業だ。所謂「下請け仕事」ではなく、システム開発でも直接受注が8割と高い。主体的に事業展開できる駐輪場運営事業の成長もあり、前期(2020年3月期)は9期連続増収となった。同社は利益率拡大などに向け、5月に新中期経営計画を発表。3年後に売上高200億円、営業利益率6%を目指す。

プロフィール◉しもじょう・おさむ

1986年、日本コンピュータ・ダイナミクス入社。2000年、日本システムリサーチ(現NCDテクノロジー)取締役就任(現任)。05年、同社代表取締役社長就任。日本コンピュータ・ダイナミクス取締役執行役員、第2システムソリューション事業部長などを経て、12年、代表取締役社長就任(現任)。


8割がエンド向けの独立SI


 独立系IT企業の日本コンピュータ・ダイナミクスは、情報処理産業の黎明期にあたる1967年に創立。50年以上に渡り、法人向けにシステム開発や運用・保守サービスを手掛ける老舗システムインテグレーター(以下SI)だ。

 日進月歩のIT革新を背景とした企業の情報化投資増に支えられ、SI業界では需要旺盛な時代が続く。一方で、大きな収入源にはなるものの利益率が低い受託開発事業(大手SI企業からの下請業務)に依存するSI企業は多い。

 そんな業界において同社が際立つ点が、「主体性」のある仕事が多いことだ。

「当社は創立当時から、IT事業の約8割がエンドユーザー向けの直請事業です。また、その多くが30〜40年と付き合いのある企業。長期的に取引させていただいているため、安定的に収益を上げています」(下條治社長)


無人駐輪場運営のパイオニア


同社の前期(2020年3月期)業績は、売上高は前期比8・1%増の183億円、営業利益は同10・4%減の9億円。順調な受注状況に支えられ売上高は過去最高を記録したものの、IT関連事業で発生した低採算案件の影響により減益となった。

 セグメント別に売上高をみると、システム開発とサポート&サービスで構成されるIT事業は6割強。残りの4割弱は、自転車駐輪場管理システムの販売・運営などを行う「パーキングシステム事業」だ。

 同社は駅前などの放置自転車が社会問題となり出した1999年、当時は珍しかった前輪を爪型のロックで固定する「電磁ロック式駐輪場」の開発・販売からスタートした。

「当初は機器販売だけ行っていましたが、地主さんから『管理運営をやってほしい』との声を聞き、業界に先駆けて精算機開発やサポートセンター立ち上げなどを行いました。先行優位性もあり、現在でも電磁ロック式駐輪場ではトップクラスのシェアを持ちます」(同氏)

 現在は①時間貸し無人駐輪場、②月極駐輪場システム、③コミュニティサイクルの3分野を展開。2020年4月1日時点での駐輪場管理箇所数は約1800箇所、管理台

数は51・3万台に上る。

 同事業の特長は、利益率の高さ。前期のセグメント別営業利益率をみると、システム開発事業は11・3%、サポート&サービス事業は4・9%だが、パーキングシステム事業は

14・1%。同事業の営業利益は、全体の48%を占める。


▲同社が運営するイオン東神奈川店の駐輪場










開発業務の地方移管を推進


前期までの中期経営計画「Vision2020」では、最終年で売上高180億円、営業利益率5・6%を目標に掲げた。IT事業、パーキングシステム事業いずれも好調だったため売上高は達成したものの、利益率目標は今一歩の結果となった。

 そこで、今期からは新中期経営計画「Vision2023」を始動。2023年3月期に、売上高200億円、営業利益率6%、ROE15%以上を目指す。

 利益率改善に向けた施策は大きく2つ。1つ目は、IT事業における地方拠点活用だ。

「これまでに、福岡と長崎で開発拠点の整備を進めてきました。現在東京で実施している業務を地方に移せば、人件費の削減やBCP※対策にもなります。現在地方拠点の比重は全体の1割にも満たないですが、さらにこの比率を高めたい」(同氏)


▲お台場拠点外観











子会社活用で外注率を低減


 2つ目が、パーキングシステム事業の内製化。

 これまで、同社は駐輪場の巡回や掃除、駐輪場内の放置自転車撤去、精算機からのキャッシュ回収などは他社に外注していた。しかし、近年は利益率アップに向け関連会社による運営を推進する。2018年、同社は設備管理・機器メンテナンス・現場巡回・常駐管理を行うNCDプロス社を設立。2019年には、九州地区における駐輪場事業の拡大を目的に矢野産業を子会社化した。

「事業の外注率を減らすことで、パーキングシステム事業の利益率はより高めることができます。その一方で、昨年末にQRコード対応の駐輪場決済サービスを開始したり、3年前に自転車のアンテナショップを開設したりと付帯サービスの拡充も進めています。今後も利益率の改善とサービスの向上に努め、安定的に成長したいと思います」(同氏)



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