• 株主手帳編集部

日本ホスピスHD【7061・マザ】看取りケア提供する「ホスピス住宅」看護師ら専門スタッフを多数配置

日本ホスピスホールディングスは、がん患者や難病患者らに看取りのケアを提供する「ファミリー・ホスピス」を運営する。終末期の患者が医療的ケアを受けながら余命数カ月を家族と共に暮らすことのできる新しいタイプの住宅であり、高齢社会の日本における成長が期待されている。



高橋 正 社長


たかはし・ただし 1962年生まれ、神奈川県出身。2000年より高齢者住宅の運営に関わり、2008年ユーミーケア(現学研ココファン)代表取締役社長に就任。2012年カイロス・アンド・カンパニーを創業。2017年同社とナースコールを傘下とする日本ホスピスホー

ルディングスを設立、代表取締役社長に就任(現任)。



 




 ファミリー・ホスピスは、終末期のがん患者や難病の患者に緩和ケアを提供する「ホスピス住宅」だ。サービス付き高齢者向け住宅または有料老人ホームと訪問看護ステーションを組み合わせた療養型住宅であり、患者は生活しながら看護師を中心とした多職種チームによる医療ケアを24時間体制で受けることができる。

 高橋正社長は、長年高齢者住宅の運営に携わってきた一級建築士。看取りのケアに特化した高齢者の住まいの必要性を感じ、ホスピス住宅の実現に力を注いできた。

「20年程前、死生学の哲学者として知られる上智大学のアルフォンス・デーケン氏による欧州のホスピス視察に2年続けて参加しました。

『ホスピスでは、残された最期の時間の質が大切だ』というデーケン氏の言葉に感銘を受け、帰国後、ギリシャ神の時間の神であるカイロスから取った『カイロス・アンド・カン

パニー』(東京都千代田区)を設立しました」(高橋正社長)。

 現在、同HDは同社とナースコール(愛知県名古屋市)をグループ会社とし、関東6施設、愛知6施設、計323室のファミリー・ホスピスを展開している。


医療保険における売上がベース10年で100カ所目標


 同社は今後、土地活用事業として土地オーナーにホスピス住宅を提案し、10 年後に全国100カ所での展開を目指す。高齢者関連ビジネスとしては、一般的な老人ホームに比べ

てホスピス住宅の開発は優位性が高い、と高橋社長は話す。

 一般的な老人ホームが50~80室、土地面積が500~800坪であるのに対し、ホスピス住宅は20 ~30室、土地面積が200~400坪と、あまり大きくない土地の活用が可能だ。建築投資額の2~3・5億円は老人ホームの約1/3であり土地オーナーの負担が少ない。

 また、老人ホームは駅近くの立地を重要視するのに対し、ホスピス住宅は終末期の患者が家族とともに過ごすという性質上、立地条件を厳しく選ぶ必要がない。

 開設後の収益性も比較的安定している。入居者をがん患者、難病患者に特化し、公的医療保険による売上をベースとするビジネスモデルであるため、介護保険を収益の基盤とする通常の介護施設に比べて患者1人当たり2~3倍の売上が立つという。

 

 一方で、参入障壁は高く、特にホスピス住宅のケアを支える看護師の確保は簡単ではない。同社には、看護師の中でも高度な教育訓練を受けた専門看護師、認定看護師が20数名

所属している。専門看護師の資格を持つ人は、全国に約200万人の看護師がいるうちの0・1%の約2100人、認定看護師は1%の2万人程度であり、医師に近いスキルを持

つ看護師の配置が手厚い緩和ケアサービスの提供には不可欠だ。

「普通は大学病院等で働けるレベルの看護師ですから、当社のような介護施設にはまず来てくれない。しかし、ホスピス住宅の理念を根気強く説明し、数年かけて理解が得られるようになりました。この事業は看護師の心をつかまないと成り立たない。他社が真似できない差別化ポイントです」(同氏)

© 2019 青潮出版株式会社

  • Black Facebook Icon
  • Black Twitter Icon