• 株主手帳編集部

日本特殊塗料【4619・東1】快適性高める自動車用吸音材・遮音材のトップメーカー 技術力・応用力強みに年商594億円

第二次世界大戦前の1929年に創業、航空機用塗料メーカーとしてスタートしたのが、日本特殊塗料だ。設立からほどなくして塗料から自動車製品事業へと製品ジャンルを広げ、2019年、設立から90年という節目の年を迎えた。今日では、自動車用の吸音材・遮音材のトップメーカーとしてその名を知られている。

田谷 純社長

PROFILE たや・じゅん

1953年3月、千葉県出身。76年、一橋大学法学部卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。2005年、日本特殊塗料に入社、業務本部財務部長を経て取締役に就任。常務取締役、代表取締役専務兼最高財務責任者などを経て、19年6月、代表取締役社長兼最高執行責任者兼最高財務責任者に就任(現任)


自動車用製品事業が伸長

いまや全売上の約75%に


 日本特殊塗料の2019年3月期の売上高は、594億円。そのうちの434億円を占めるのが、自動車製品関連事業だ。6年前の2013年3月期と比較すると、同部門の売上は全体の58%から73%へと大きく比率を高めており、会社全体の順調な売上高増加に寄与してきた。

「当社は、塗料事業と自動車事業を手掛けており、3分の1が塗料、3分の2が自動車です。1953年に自動車部門に進出しまして、1967年からはスイスのオートニウム社と技術提携をしております。自動車用は、防音・防錆塗料、制振材や吸・遮音材などを開発し、今では国内の全自動車メーカーと取引を行っております」(田谷純社長)

 主力の自動車製品事業の売上を牽引するのが、自動車空間の快適性を高めるために欠かせない、自動車用吸・遮音材だ。取扱高は年々増加しており、前期は同事業のおよそ3分の2を売り上げた。これは、全売上高のうちの約5割に当たる。売上伸長の要因には、車が今や単なる移動手段ではなく、くつろぐための空間となりつつあるという現状がある。

 

 車の防音に関しては、ロードノイズなど車外からの音を防ぐことと、エンジン音などの車室内の音を防ぐこと、この2つが重要となる。近年の技術革新によりエンジンやモーターは静音化が進み、一方ではEV(電気自動車)の普及で防音の必要性は減っていくのではないかとの声もある。しかし、「車外からのノイズは当然ありますし、今後は自動運転の導入などで、家のリビングと同じように車にはより快適な空間が求められるでしょう。音に関してより気になるという意味では、防音の需要は逆に増えることも考えられます。当社ではその両面を睨んで対処していくということになると思います」(同氏)


吸・遮音材の販売が好調

全売上高の6割目指す


 注力している自動車用吸・遮音材の分野の売上比率は今後も拡大する見込みで、同社では「全売上高の6割程度になっていくのでは」(同氏)と見る。同社では既に、2017年と2018年、自動車向けで大型の設備投資を実施。元々強かったエンジンルームに加え、室内側の防音部材を強化するため、既存の愛知工場を再配置し、生産設備を新設した。「音を究め、くつろぎをつくる」をモットーに掲げ、新たに、より高い防音機能を付加した自動車用部品の製造に取り組んでいる。

 同社が現在「戦略4部品」と位置付けているのが、①フロアカーペット ②吸音フロアアンダーカバー ③ハイブリッドアコースティックス ④エンジンカプセレーション の4

つ。いずれも自動車用の吸・遮音材だ。

「当社では戦略4部品を新たな取り組み分野として、拡大のチャンスとしていこうと考えております。まだまだこれからの分野ではありますが、これから100億円単位にはなっていくと思います」(同氏)



車向けは海外展開拡大へ

中国市場に大きな期待感


 今後の成長戦略の中でキーワードのひとつとなるのが海外だ。国内での販売台数の伸び悩みを受け、日本の自動車メーカーは国外に活路を見出そうとしている。同社も今後は海外比率を徐々に拡大していきたい考えだ。海外での部品販売は、主に日系メーカーが対象。同社が最も期待を寄せるのは中国市場だ。

「中国は、今は少し低迷していますが、今後の成長マーケットとしてはかなり期待できると考えております」(同氏)

 好調な自動車用吸・遮音材分野の拡大により、同社の売上は右肩上がりで順調に伸び続けている。利益面では、大型設備投資の影響で直近2期が減益となったが、それもそろそろ一巡、今後は回収の時期を迎える。

2020年3月期は、売上高617億円、経常利益48億円を目標に掲げる。

「当社は塗料と自動車、両方の分野に強みを持っておりますので、自動車の方に塗料事業で築いた技術を展開するとか、また逆の展開もあり得ます。全く異なる分野においてシナジー効果が発揮できるよう、研究・開発をしております」(同氏)



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