• 株主手帳編集部

日本社宅サービス【8945・東1】社宅業務代行、施設管理によるストック型ビジネス6期連続、過去最高売上高の更新を見込む

 日本社宅サービス(8945)は、企業の住宅制度運営全般の代行を目的に設立。現在は、転勤者の物件探しから契約、家賃、退去までをサポートする社宅管理事務代行事業、分譲マンションなどの施設総合管理事業、見守りセキュリティサービスなどのその他事業、企業活動や住まいと暮らしに関わるアウトソーシングサービスを提供している。今年7月、持ち株会社に移行し、更なる事業の拡大と深化を目指している。



髙木 章社長

Profileたかき・あきら

1973年8月生まれ、山口県出身。1996年近畿大商経卒、中国セキスイツーユーホーム(現セキスイハイム中四国)入社。2001年1月同社に入社し09年取締役、18年常務を経て、19年9月代表取締役社長に就任(現任)。





社宅に関わる一切業務を アウトソーシング


日本社宅サービスは、大手企業の社宅管理事務の代行事業で、国内トップのシェアを有している。日本で社宅といえば、以前は「社有社宅」を指し、寮や自社物件を完備する企業が多かった。しかし、維持管理のためのコストの負担や従業員の意識変化などから見直しが続き、近年は流通する賃貸物件を借り入れ、社員に貸し出す「借り上げ社宅」が一般的だ。一方、借り上げ社宅は、物件探しから各種手続き、家賃の支払い方法などが個々に異なり、その業務は複雑化した。大手企業ともなると、3月から4月にかけての一時期に、社員の異動 に関わる案件が集中し、他の業務もこなさなければならない人事や総務担当者の大きな負担となっている。  社宅管理事務の代行は、企業内で転勤者に社宅貸与が決まり、申請書類が同社に届いた時から始まる。物件探しは、同社の基準をクリアした全国の不動産会社からなるFCチェーン『日本社宅ネット』(約340店舗)からの情報を、転勤者の希望に合わせて紹介する。物件確定後の新規契約から居住中の家賃の支払い、契約更新、解約手続き、退去時の精算、入居中のトラブル対応など、社宅に関わる一連の業務を同社が企業に代わって代行する。 「大きな企業さんでは、数千から数万の社宅に関わる個別業務を、全国の異なる相手とやり取りして担当者の大変な手間となっていました。当社は社宅1戸に対し、年間1〜2万円の契約料で、当社で業務を代行します。例えば家賃の支払いでは、企業は一括で当社に総額をお支払いいただければ、当社で個別に振り分けて送金します。働き方改革が進む中、社宅業務のアウトソーシングへのニーズは年々、高まっています」(髙木社長)  社宅代行の参入企業はいくつもあるが、同社の特徴は、自社で不動産業務を行わないこ とだ。手間がかかる割に一つ一つの収益が小さなビジネスのため、不動産賃貸仲介業など の付帯サービスとして行う企業も多い。だが同社は、代行以外の収益を取らない独立したアウトソーサー。だからこそ、万一のトラブル時にも顧客側に立って対応できるという。 「現在、300〜400の大手企業様からの22万件超の社宅代行を委託されています。また、蓄積したノウハウによるご提案なども積極的に行っており、リピート率は95%以上、ストック件数も年々増加しています」(同氏)


第2の柱となる 施設総合管理サービス


2019年6月期の連結売上高は、前年同期比7・1%増の84億4118万円で5期連続過去最高を更新。営業利益は同18・4%増の過去最高の9億5571万円、経常利益も同じく 15・2%増の10億302万円。2020年6月期についても売上高94億8000万円、業利益10億5500万円、経常利益11億100万円と増収増益が続く予想だ。  現在の同社の事業は、創業以来の「社宅管理事務代行」に加え、「施設総合管理」、「その他」の3つで構成されている。施設総合管理事業は、2006年にビル管理が主業のダイワード社(現クラシテ)のM&Aからスタートした。分譲マンションを中心にビル管理サービスと派生するリフォーム、修繕工事などのトータルマネジメントを行っている。 「管理組合さんからマンション管理の業務をお請けする事業は、我々がお付き合いしている企業の社有施設の管理などにもシナジーがあると思っています。現在、年間9万〜11万円の契約料で約2万3000戸のマンション管理を受託しています」(同氏)  セグメント別の売上高は、社宅管理事務代行事業が37億8776万円、施設総合管理事業が41億350万円と施設総合管理事業の方が多く、売上げの柱となっている。一方、利益では社宅管理事務代行事業が6億9499万円、施設総合管理事業が1億2243万円と社宅代行が圧倒的だ。施設管理は、管理人・清掃員などの人件費のボリュームが大きい。  また「その他」事業の利益は1億3566万円。ホーム端末で安否確認や侵入検知が可能な「見守りセキュリティサービス」、法人向けの煩雑な保険業務を支援する「保険サービス」など、第3、第4の柱として育成中の事業の総額となっている。




2020年7月

持ち株会社に移行


2020年2月、子会社のクラシテが、ソフトウェア開発業の東計電算、マンション向けインターネットサービスを展開するファミリーネット・ジャパンと共同で、マンション管理業務をデジタル化する管理モデルの開発を発表した。  同社は、企業の属人的な労働集約型の業務を、スケールメリットを活かして請け負うことで、業務やコストを削減させるバックヤード支援を得意としている。だからこそ今後は、いかにその業務プロセスを省人化し、生産性を向上させていくかが成長力のカギとなる。 「目的のひとつは、我々自身が業務のデジタル化を進めることで、価格競争力を含め他社との差別化を図っていくということがあります。さらにもう一つは、そこで培ったノウハウを、特に採算性が取りにくい中小の管理会社さんなどに提供することで、新たな収益の柱に加えていきたいと考えています」(同氏)  なお同社は7月1日付で、機能分化による意思決定や人材育成の早期化を目的に、持株会社サンネクスタグループ株式会社に移行する。将来の中核事業となる新ビジネスの創出と育成を加速させていくという。



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