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日産東京販売ホールディングス 【8291】全国最大規模の日産系自動車販売会社EV・e-POWER車好調で新車台数が拡大

全国最大規模の日産系自動車販売会社EV・e-POWER車好調で新車台数が拡大


「100年に1度の大変革期」と言われる自動車業界。国内の自動車需要がゆるやかな減少傾向を見せる中、2018年度は前年比1・5%増と新車の売上台数を伸ばしているのが日産東京販売ホールディングス(8291)だ。東京を中心に140店舗のネットワークを展開し、日産自動車独自の電動化技術を搭載した「リーフ」「ノート」「セレナ」などの販売に強みを持つ。5月に発表した新中期経営計画では、2022年3月期までに売上高1750億円、営業利益55億円の目標を掲げている。



竹林 彰社長

Profile●たけばやし・あきら 1982年日産自動車入社。2003年日産サティオ島根代表取締役社長。06年日産自動車マーケティング本部エリアマーケティング部部長。10年日産自動車国内M&S業務部部長。12年中央日産代表取締役社長。16年日産自動車日本営業本部副本部長兼日産東京販売HD取締役。19年日産東京販売HD代表取締役社長(現任)。 



 同社の2019年3月期の売上高は1558億100万円(前期比2・5%増)、営業利益47億2100万円(同2・3%増)の増収増益となった。日産前会長のゴーン被告の事件で懸念されたマイナスイメージを跳ね返した格好だ。新車の販売台数は3万1748台(前年比1・5%増)となり、中古車、整備事業が堅調に推移。またグループ会社である東京日産コンピュータシステム(3316・JQに上場)が過去最高益を更新した。

 同社の売上高と営業利益の約9割は自動車関連事業だ。中でも連結営業利益の約8割を占めるのは自動車ディーラー事業で、東京都内を中心に「東京日産自動車販売」「日産プリンス東京販売」「日産プリンス西東京販売」の3販社で合計140店舗を展開している。新車の中でもEV(電気自動車)の「リーフ」、エンジンで発電した電気をモーターに送って走行する“e─POWER”搭載の「ノート」「セレナ」の人気が高い。


EV(電気自動車)の導入・販売に関して10年近くのノウハウの蓄積があり他社に先んじている

「EVやe─POWERの車はモーター制御なので非常に滑らかな加速を実現できる。9月に発売される新型スカイラインでは、高速道路の追い越しやハンズオフ走行が可能など画期的な運転支援技術も搭載されますし、さらに2022年までに新型EV車3車種、e─POWER搭載車5車種の発表が予定されている。どんどん進化するこれらの車をお客様に提案、理解していただいて販売するのが我々の仕事です」(竹林彰社長)


「ベストプラクティス」共有が強み


 同社は2015年3月期より増収を続け、営業利益も毎年40億円超と手堅い。同社グループには新車ディーラーの3販社以外に、車検・整備事業の「NTオートサービス」「車検館」、中古車販売及び整備事業の「GTNET」があり、また非連結子会社として車両運送の「NT運送」、タクシー業の「葵交通」など3社が参加している。このように自動車周辺の様々な業種を内包する自動車販売企業はあまり類がなく、グループ企業間の連携で発生するシナジー効果が同社の大きな強みとなっている。

「自動車の販売は減少していると言われるが、ここ5年くらいは毎年500万台を割っていない。東京でも毎年30万台以上が売れており、底堅い市場といえます。自動車は新車に付加価値をつけて販売し、その後メンテナンスの機会が発生し、さらに代替えするときはこれまでの車を中古車として下取りする。1台の車で何回かの商売のチャンスがあり、お客様の数もほとんど変わらずに維持しています」(同氏)

 

 グループ内のシナジー効果を深めるため、同社が社内で進めるのが「ベストプラクティス」の共有だ。ベストプラクティスとは自動車販売に付随するノウハウなどのことで、2011年に都内の日産販売会社の再編を行い、ディーラー3販社の体制がスタートした時から共有化が進んでいる。店舗がすべて東京中心にあることから、スピード感のあるノウハウの共有が可能だという。

 たとえば、最近注目を集め人気の高い装備としてドライブレコーダーがある。同社ではこれらのオプション部品の提案の方法を共有化している。店舗や販社ごとでの成功事例を吸い上げて共有化、定着させることで、さらなる販売増加につなげている。

 また日産では2010年からEVの量販車「リーフ」を発売していることから、同社では電気自動車に関して、走るだけではないその特有の活用方法など豊富なノウハウを蓄積している。これも、今後EVを手掛ける他社ディーラーに対して一日の長があるポイントだ。

「グループ化して8年過ぎ、皆で一番いいやり方を決めて共有することが定着してきました。今後もそれをベースにしてさらに発展させていきます」(同氏)

 

 同社が発表した中期経営計画では、2022年までに売上高1750億円という大胆な目標を掲げている。この目標に向け同業他社のM&Aを視野に入れるとともに、ベストプラクティスの更なる徹底、新たな販売スタイルと新商品の開発に取り組んでいく。

「今までの競争相手は自動車関連の業界に限られていた。今後はIT企業など新たなプレイヤーがどんどん参入してきて、既存企業が強いとは限らなくなる。そういう意味では、我々もチャンスの芽を育てていかなくてはいけない」

(同氏)


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