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本多通信工業【6826・東1】創業87年の産業用コネクタ専門メーカー車載用途向け中心に攻めの経営で成長

電話交換機用部品製造からスタートした本多通信工業(6826)は、通信インフラやFA機器用など様々なコネクタ製品を開発、業績を拡大させてきた。自動運転化に欠かせない車載カメラ用コネクタ事業を成長エンジンに据え、2022年度には売上高270億円を目指す。



佐谷紳一郎社長

 ◎プロフィール さたに・しんいちろう

1957年生まれ。1981年松下電工(パナソニック電工へ社名変更、その後パナソニックに経営統合)へ入社。1995年に制御機器部門で、事業企画を担当。2009年パナソニック電工を退社し、同社に転籍。2010年代表取締役社長就任(現任)





「多品種少量生産」の長所活かす

車載用コネクタが稼ぎ頭に成長


 コネクタとは、電気や光の回路をつなぐための電子部品のこと。1947年に設立された同社は、50年代に通信機用プラグの製造を開始。初期の電話交換機で使用された、手動で抜き差しするプラグとジャックの製造・販売で発展してきた。

 交換機がなくなってからは通信用や工作機械用など様々なコネクタを開発。2008年に松下電工(現パナソニック)と資本業務提携後は、社内の構造改革を経て海外への進出もスタートした。

 同社の強みは、情報通信インフラや工作機械用などで様々なコネクタを設計する力を持っていることだ。主な顧客であったNTTの要望に合わせ、多種多様なコネクタを製造してきたことで技術が蓄積されている。また、30~40年使い続ける工作機械用製品を手がけていることから、堅牢性が高く壊れにくい製品の製造を得意としている。大手企業の約半分の時間で試作品が完成するという、業界トップクラスの小回りの良さも特徴だ。

「当社は家電ではなく産業用のニッチ分野で一等賞を目指している会社です。たとえば、当社は、あるメーカー製プロジェクタ(映像をスクリーンなどに投影する機械)のランプ用コネクタで大きなシェアを持っている。ランプの熱でも溶けず燃えない堅牢さで世界中に広まりました」(佐谷紳一郎社長)

 2010年の佐谷社長の就任後、力を入れてきたのが車載用コネクタ事業だ。自動運転化に向け車載カメラの数は現状の2倍以上になるといわれており、さらにカメラのデータを伝えるケーブルやコネクタも大幅な拡大が見込まれる。

「車載用ケーブルは車の大きさやカメラの設置場所によって全部長さが違う。新車開発中の設計変更も頻繁になります。大量生産の大企業は参入しにくい分野。車載カメラ用ケーブルやコネクタの開発には、当社のような多品種少量生産が適しています」

 現在、車載用コネクタ事業は、同社の売上高の3分の1を占めている。




“すばしっこさ”を武器に成長

車載用コネクタの売上倍増へ


 同社は今年、足元の環境変化と業績動向を踏まえ、中期経営計画「GC20」のゴールを2022年3月期に変更した。背景には日中貿易摩擦による業務用コネクタの販売不振がある。また、同社がコネクタを納入していた企業の車載カメラが搭載された自動車の売上が大きく減少したことも打撃となった。どちらも同社が原因ではないが、これをきっかけにさらなる成長への道を指向しはじめている。

 まず製造体制の再編に着手し、海外工場を含めてさらに最適化することで生産力を上げていく。また車載用コネクタ事業では、18年度の売上高63億円を、22年度までに130億円と倍増させる計画だ。

「今後車載カメラは人間の目の代わりとなる。コネクタの世界も変わっていくでしょう。そのための次世代向けコネクタの開発を今年から始めています。また、国内だけでなく海外の顧客を増やすため、外資系コネクタ企業の人材を招いての開発も進めています」(同氏)

 さらに同社は、通信インフラなどのネットワークを受託開発する「情報システム事業」を持っている。こちらは1980年代から事業を続けており、今後は企画から開発までを受注することで、3年以内に前期から約3割増の売上高40億円を目指す。

「GC20」の目標は、2020年に売上高270億円、営業利益32億円の達成だ。

「今は当社のような、短期間での開発・納品や多品種少量生産ができる“すばしっこい”企業が面白くなっている。競争は激化していくが、勝てる道は必ずあると思っています」(同氏)