• 株主手帳編集部

東京建物 【8804・東1】2024年度連結事業利益750億円、ROE8~10%目指す2030年度まで長期ビジョンマイルストーンの位置付け

 不動産大手の東京建物(8804・東1)では、新たに2020年~2024年度の中期経営計画を策定した。グループとして2030年頃を見据えた長期ビジョンのスタートに当たる。同計画では、2024年度の数値目標として、連結事業利益750億円、ROE8~

10%を目指している。

小澤克人 取締役常務執行役員













10年後「連結事業利益1200億円」

「SDGs達成への貢献」を両立


 同社では、2019年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画で、連結営業利益5

00億円等を掲げ、計画を推進してきた。結果、2019年度は営業利益が524億円

と、2018年度以降2期連続最高益を更新するなど、当初目標を上回る利益成長を達

成した。

 2030年までの長期ビジョンの基本目標は、「連結事業利益(※)1200億円」、

「SDGs達成への貢献」の2つを両立させることだ(※連結事業利益とは連結営業利益に持ち分法投資損益を加えたもの。同社の新たな指標)。

 小澤克人取締役常務執行役員は話す。

「今回、長期ビジョン策定の背景にあるのは、年々変化が加速している事業環境に伴ってESG経営の重要性が増大していることにあります。こうした中、2020年以降もグループ社員一丸となって知恵を絞り、持続的成長を実現するため、また、現在進行中の大規模再開発が竣工するタイミングで、SDGsのターゲットイヤーとも重なる2030年ごろを見据えることとなったものです」。

 同社は日清戦争直後の1896年に創業したが、当時は経済勃興期で、不動産取次などで詐欺まがいが横行していた。そこで不動産取引の品質向上・安定性を求めて設立されたという経緯がある。この創業当初のミッション「健全な不動産業の発展」「良質な住まいの提供と東京の発展への貢献」が、現在にも脈々と受け継がれている。

「顧客や社会のニーズに応える提案力・課題解決力」「時代の変化を捉え、新しいことに挑戦する社風」「120年超に渡り培った信頼・実績・ノウハウ」は同社が標榜している強みだが、「今回の長期ビジョンもこれを踏襲したもの」( 同氏)だという。

 こうした中、「2024年までの中期経営企画は、2030年1200億円を目指すマイルストーンとなる」(同氏)。目標数値として、連結事業利益750億円、ROE8~10%、D/Eレシオ2・4倍、有利子負債/EBITDA倍率12倍程度を目指していく。


大規模再開発2300億円等

投資金額1兆4000億円


 具体的な重点戦略として挙げているのは、「大規模再開発の推進」、「分譲マンション事業のさらなる強化」「投資家向け物件売却の拡大」、「仲介・ファンド・駐車場事業の強化」、「海外事業の成長」の5つで、「本業をベースにシェアの大きいものにウェイトを置く」(同氏)。

 投資計画はそれぞれ2300億円・4300億円・5500億円・700億円、その他を加えるとグロス投資額で1兆4000億円規模となる。

「これらの事業ポートフォリオを、『賃貸』、『分譲・売却』、『サービス』の3つに分類。収益性・効率性・安定性のバランスを意識して重点戦略を推進していく」(同氏)

 2019年までの利益構成を見てみると、賃貸が60%、分譲・売却30%、サービス10%。これを2024年には連結営業利益750億円のうち、同40%、40%、20%としていく。

「賃貸」は現在進めている大規模再開発が竣工するまでは、既存物件の賃貸収益の拡大、2025年以降はその再開発物件を稼働させることで、50%にまで拡大させていく。分譲・売却は、2024年までに既存ストックの回収を中心に拡大させ、以降は継続的な利益創出を期待している。

 大規模再開発事業では、「着実な推進とエリアの魅力向上に取り組み、オフィスビルポートフォリオ全体の価値向上による安定的な賃貸利益の拡大を目指す」(同氏)。

 その目玉となるのが、本社が位置する東京駅八重洲口周辺エリアだ。「日本の街づくりの中心として、他の事業者と連携しながら、海外と比べても競争力の高いエリアにしていく」(同氏)。

 この他にも中央区・港区・渋谷区で複数のプロジェクトが進行しており、2030年頃までに賃貸面積合計約32万㎡になる計画だ。この再開発に係る投資額は2024年までに2300億円、2025年から2030年までに3300億円程度を見込んでいる。


分譲マンション事業では

約6500戸分の売上確保


 分譲マンション事業においては、「更なる強化・再開発・建替え等の手法を駆使した競争力の高いマンションの開発機会を継続的に獲得し、社会変化に 対応した良質な住まいを提供する」(同氏)。

 中計期間に計上予定のプロジェクトは、約6500戸分、既に同期間想定累計売上高の

うち約80%は確保しているという。

 投資家向け物件売却では、ホテル・賃貸マンション・物流施設等、幅広いアセットタイプへの積極投資により継続的に開発機会を獲得し、機動的な売却による利益創出を行い拡大を目指していく。

 仲介・ファンド・駐車場事業の強化に関しては、不動産ストックの増加や有効活用ニーズに着目し、仲介事業・駐車場事業の強化を図る。

 今後の期待値が高まっているのが海外事業の成長だ。同社は約15年前より中国で事業を展開。前中計期間に進出しタイ・シンガポールなどその他アジア諸国に現地有力パートナーと協業し、事業期間が短い分譲マンション事業等を主軸に新規事業機会の獲得を目指す。

「人口動態の変化や、人々の価値観の多様化、テクノロジーの加速度的な進展など、時代は不確実性が高まっていますが、同時にデベロッパーが果たす役割も大きく変わっていきます。当社は次世代のデベロッパーとして、『社会課題の解決』と『企業としての成長』をより高い次元で両立させていきたいと考えています」(同氏)





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