• 株主手帳編集部

永大産業【7822・東1】木質ボード工場に180億円投資台風被災後、積極経営に転換

フローリング・建具などの住宅資材メーカー大手の永大産業が再成長を目指している。同社は2018年9月に発生した大型台風により旗艦工場を被災。この1年間は工場の復旧と共に、営業や生産体制の刷新に取り組んできた。今年6月には新中期経営計画を発表した。新ブランドや受発注システムの導入などによって、シェアアップを図ると共に、新設住宅着工数に依存しない事業構造を目指し、リフォームや非住宅分野の強化を図る。これによって、前期の年商582億円を5年後は800億円まで伸ばす計画だ。

PROFILE◉しえん・のぶひろ

1962年3月、香川県出身。1984年、同志社大学卒

業後、永大産業入社。2009年事業本部建材事業

部長兼資材部長、2017年取締役兼専務執行役員

総合企画本部長等を経て、2019年代表取締役兼

執行役員社長に就任(現任)。



被災復旧に1年


昨年9月の台風で大きな被害を受けたのは堺市内の、海に面した大阪事業所に隣接する工場や物流センターだ。高さ6メートルの防潮堤の一部が倒壊。海水が流入し浸水した。これにより、受注生産してきたフローリング、建具、収納、造作などの製品の生産がストップした。特にキャビネットラインのシステムキッチンは同工場でしか生産できなかったため、商品の供給ができなくなった。

「生産が復旧したのは、結果としては11月の末。しかし、過去にいただいた注文を整理していきまして、営業が動き出したのは年が明けてからでした。最終的に復旧まで1年を要し、期間損失で34億円の赤字を計上する結果となりました」(枝園統博社長)


受発注システムを改革


 新年度入りした今年4月からは枝園氏が新社長に就任。再度の災害発生に備えた各種の安全対策の手を打つと共に、新中計を発表し、成長路線に再び舵を切った。

 新中計の目玉は3つ。主力の住宅市場におけるシェア増と非住宅・リフォーム強化、そしてボード事業の拡大だ。

 まず、シェアアップに向けた戦略商品として投入したのが新ブランドの「Skism(スキスム)」だ。このブランドは、同社の製品をもっと選択しやすいように品揃えの整理をしたもので、トレンドに合ったデザインなどに不慣れな中小ビルダーや流通業者でも、コーディネートして設計からユーザー提案までが一貫してできるようになるという。

「これに合わせて、『EDnet+(イーディーネットプラス)』というオンラインシステムを開発しました。このシステムで、商品を拾ってもらえい積算すると、図面と積算シートができ、簡単に発注できるようになっています」(枝園社長)

 従来は同社の営業マンが流通会社に付き添い、積算や見積書の提出まで行っていた。だが、このシステムで流通会社の担当者がオンラインを通して積算、発注できるため、営業マンの負担軽減にもなるという。

 現在、同社のフローリングシェアは大建工業に次いで2位。階段はウッドワンに次いでの2位。ドアは大建工業と僅差の2位だが、この新ブランドとシステムを起爆剤として、トップを追っていく。


非住宅専任営業部署を設置


新設住宅着工に依存しない体制づくりでは、まず、非住宅分野では幼稚園や保育園などを対象に、子供が指を挟まないドアといった安全性と利便性を合わせた商品の「セーフケア」を拡販。「Skism」でコーディネートできるように、1月に整理するとともに、改めて商品を拡充し、集客に力を入れている。また、商業施設やホテルなどには、非住宅専任営業部署を東名阪に配置し営業強化を図っている。

 さらに、リフォーム分野ではキッチン、バスなどの水回り製品の扱いで、中小リフォーム業者と結びつきが深い管材系の建材流通会社と連携を進めている。


木質ボードで新工場


 そして、大掛かりな投資によって一気に増産を図るのがボード事業だ。

 今年4月に日本ノボパン工業と合弁会社「ENボード」を設立。パーティクルボードの生産工場を建設する。同工場は月間1万5000トンを生産する日本一の工場になる予定だ。

「木質ボード生産を強化するきっかけは、昨年3月の建設省告知1100号の改正です。耐力壁にパーティクルボードが使えるようになり、今後ニーズの高まりが期待できる商品となりました。ところが当社の3つの製造プラントは古かった。一方、日本ノボパン工業は現状で生産量をこれ以上拡大できずにいました。そこで、2社共同で生産工場を一緒に立

ち上げないか、となったのです」(枝園社長)

 総事業費は180億円にのぼる大型投資となるが、これによって現状の木質ボードの売上高約60億円は、2024年には100億円を超える見通しだ。


海外事業30億円に


 海外事業展開も本格化。ベトナムではすでに床材を製造していたが、来年1月からはインドネシアでもシステムキッチンの販売を開始する。インドネシアには自宅で料理をする文化がないものの、「日本では自分で料理をします」というPR活動をしている。

「リンナイさんと共同でミドル層の人たちに『日本の文化としては、家に帰って食事を作るんだ』と興味を持たせる活動をしています」(枝園社長)

 海外事業では30億円ほどの売上を目指す。全社では5年後の2024年3月期に、売上高808億円、24年には営業利益41億5000万円、経常利益は40億円を計画している。



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