top of page

竹本容器 【4248・プライム】創業72年の化粧品容器メーカー 転換期迎え、グローバル戦略を強化


 竹本容器は、化粧品・トイレタリーを主力にプラスチック容器の製造・販売を手掛けるメーカーだ。戦後から右肩上がりで成長を続けてきたプラスチック容器業界だが、環境への配慮や国内市場の成熟を背景に、業界全体が転換期を迎えている。現在国内で3番手の位置づけにいる同社も今を第二創業期と捉え、海外展開を加速している。30年には売上高300億円、そのうち海外売上100億円を目指す。


 

竹本 笑子社長

プロフィール◉たけもと・えみこ

1975年8月生まれ。中央大学法学部卒業後、98年に国際証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)入社。99年、竹本容器入社。2004年3月取締役などを経て、04年12月代表取締役社長に就任(現任)。06年上海竹本容器包装有限公司董事長、竹本容器(昆山)有限公司董事長、20年共栄プラスコ代表取締役に就任(現任)。





 

国内・海外で金型多数保有

ニーズの拡大捉え業界3位に位置


 創業72年の同社は、国内でプラスチック製造が始まった1950年代からプラスチック製品の販売を始め、80年代からはメーカーへ転換した。納品先の業種は、売上の6割を占める化粧品・トイレタリーを中心に、日用・雑貨、食品、化学・医薬分野などだ。

 プラスチック製化粧品容器には、オーダーメイドで金型から開発するビスポークと、既存の金型を活用するスタンダードボトルとがある。国内の市場規模は約2000億円で、そのうちの75%が前者、25%を後者が占めている。業界1・2位の企業(いずれも未上場)はビスポークを主力に手掛ける一方、3位の竹本容器はスタンダードボトルを主力に手掛けており、全体の5%のシェアを獲得している。

 国内市場は08年から18年までに36・6%の伸び率で成長し、その中でもスタンダードボトル市場は56・9%の伸び率で拡大した。背景には化粧品会社の新規参入の増加がある。中国向け製品拡大や、オンライン販売に特化したプレーヤーも増え、「早く製品化したい」「金型を作らず手軽に作りたい」というニーズが拡大している。

「金型は通常、一台作るのに3~4カ月、費用は数百万円~数千万円掛かります。当社では国内で2400、海外で1300型を保有しており、お客様は金型に投資せずに容器を作ることができます。多数の金型の活用により、小ロットでスピーディーに顧客の要望に応えられることが強みです」(竹本笑子社長)

 

中国・インド・欧米の販売伸長させ

30年に海外売上100億円目標


 同社の21年12月期の売上高は前期比6・1%増の157億7600万円、営業利益は同1・3%減の17億5400万円で着地した。20年以降はコロナ禍により、化粧品業界全体で売上・出荷数が伸び悩み、容器業界へ影響を与えた。近年は環境への配慮も必要になり、容器業界全体が転換期に来ているという。同社でも環境対応型製品の売上比率が30年に90%超となることを想定し、開発を進めている。

 21年に開示した中期計画「当社の将来ビジョン」では、「アジア・欧米で販売を伸長させ、30年の連結売上高300億円」を目指している。

 同社の海外売上比率は現在25%、海外売上高は40億円程だが、30年には同比率33%、海外売上高100億円を目指す。現在海外には、中国とインドに製造・販売拠点、米国・オランダ・タイに販売拠点を設けている。30年の目標は、中国市場で70億円(21年は35億円)、インド13億円(21年は1億3000万円)、欧米17億円(21年は米国2億円、オランダ1億円弱)だ。

 中国市場での取引先は、ローカル化粧品メーカーが5割、日系・外資で5割だ。中国の化粧品市場は19年の5兆円から24年8・1兆円へと60%の成長率で伸び、24年には欧米を抜いて世界最大の化粧品大国になるとされている。同社のシェアはまだ1%に満たず、伸びしろが十分にあるという。

 インドでも次々とローカルの新興化粧品メーカーが参入しており、19年から24年にかけて70%の成長率で市場拡大が予想される。ネットとの融合がコロナ以降更に加速しているのも特徴だ。22年度のインドにおける売上高は前年比50%増が目標だが、現段階で達成見込みである。

 欧米では、これまで発注を受けてから国内・アジアで商品を生産し、海上輸送で時間・コストを掛けて納品してきた。今後は現地に在庫を持ち、Eコマースによる販売も開始。ヨーロッパでの需要が高まれば、生産の現地化も目指していく。

「個人の手作り化粧品を製品化したり、アパレルや食品ブランドが化粧品事業を始めたりなど、世界的にスタートアップが増え、少量多品種化が進んでいます。そのため容器のBtoB販売においても、海外ではEコマース化が始まったところです。これまで営業はマンパワーを用いてきましたが、今後は欧米では特にEコマース化が重要になります」(同氏)


30年までに金型在庫大幅拡大

海外展開加速へ準備万端


 同社では30年までの指標として、「年間取引7500社(20年時点で4522社)」「金型保有5740型(同3540型)」「在庫販売対象製品5500製品(同1437製品)」を掲げている。

 金型に関しては、60年で3540型蓄積したものを10年間で1・6倍に増やすので、大きな挑戦だ。現在金型の標準化を進めており、開発期間と費用の大幅削減が可能になるという。在庫販売商品については、Eコマースと連動しての戦略となる。

「17年に海外市場に参入して以降、金型設計の3次元対応、開発のDX化、Eコマース、世界で戦えるデザイン・特許・知的財産戦略、環境対応など、多くの課題と向き合い、やっと武器が揃ったところです。あとはこの数年で結果を出していく」(同氏)

 同社では配当性向30%以上、24年までは純資産配当率(DOE)4%を軸として安定的に配当していく方針だ。



出所:プラスチックパッケージ成形加工メーカー年鑑2010年版、帝国データバンク、東京商工リサーチ等の資料を元に竹本容器作成



 

2021年12月期 連結業績

売上高

157億7,600万円

前期比 6.1%増

営業利益

17億5,400万円

同 1.3%減

経常利益

18億3,700万円

同 2.7%増

当期純利益

11億9.,300万円

同 143.3%増


2022年12月期 連結業績予想

売上高

153億円

前期比 3.0%減

営業利益

9億5,000万円

同 45.9%減

経常利益

10億8,000万円

同 41.2%減

当期純利益

7億円

同 41.4%減


※株主手帳1月号発売日時点




bottom of page