• 株主手帳編集部

藤森工業【7917・東1】液体洗剤等の詰め替え包装材を開発製造偏光板保護フィルムで世界シェア7割超

 包装材の開発製造からスタートした藤森工業は、創業100 年以上の歴史を有し、情報電子、建築資材に分野を広げて事業 を展開している。「ZACROS」のハウスネーム(社標)で 知られる同社は、設備投資を積極的に行い、ニッチな市場にお いて高付加価値製品を提供して高い利益率を維持している。



布山英士社長

Profile●ふやま・えいし 1954年2月4日生まれ。77年横浜国立大教育学部を卒業後、藤森工業入社。2008年取締役に就任。ライフサイエンス事業本 部長、包装事業部長を歴任し11年常務取締役に就任。12年専務取締役、13年代表取締役社長に就任(現任)




「フローパックR」開発 詰め替え文化の普及に貢献


 藤森工業の創業は1914年(大正3年)。日本の輸出産業を支えた生糸製品を船積みの湿気や塩害から守るため、高い防湿防水性を持つ「藤森式ターポリン紙」を開発した。以来、100年以上の歴史の中で様々な「包む価値」を提供。独自の技術を活用し、食品や医薬品の包装材、光学用フィルム、建築用シート等へと幅を広げてきた。  現在、ライフサイエンス、情報電子、建築資材の3分野を展開。主力のライフサイエンス事業は、売上高547億5400万円(19年3月期)と売上比率5割弱を占める。シャンプー・リンス等の日用品向け包装材、レトルト殺菌用包装材、薬液バックなど幅広い製品を製造・販売する。  このうち、売上のウエイトが高いのは、シャンプーやリンス等の詰め替え包装材として普及しているスタンディングパウチだ。同社はスイスの包装材メーカーと提携し、注出口にチューブが付いた「フローパックR」を開発。手を汚さずに短時間で注ぎ込めることから〝詰め替え文化〟の普及をけん引した。 「詰め替えは手先が器用な日本人に独特の文化ですが、最近では東南アジアでも普及してきています。また、欧米でも注目され始めています。大手グローバルメーカーのCMに取り上げられ話題になった、簡単に詰め替えできる液体洗剤のパウチも当社の製品です」(布山英士社長)  最近の詰め替え包装のトレンドは、1回詰め替えから複数回詰め替えへ移行している、と布山社長は話す。通信販売を利用して大容量の洗剤などを買う消費者が増えており、同社は2~3回分入る大型パウチを低コストで生産する専用設備の投資を行った。設備は自社開発で品質にも自信を持っており、収益性も重視した付加価値の高い製品を提供している。










▲スタンディングパウチ「フローパックRシリーズ」



テレビの大型化進み 保護フィルムの供給拡大


第2の柱である情報電子事業は売上高395億1400万円(19年3月期)であり、売上比率約35%を占める。主力製品は、テレビやパソコン、スマートフォンなどの液晶パネル等の生産工程に使用される偏光板の表面保護フィルム(プロテクトフィルム)だ。1990年代に新しい事業の柱として、独自のコーティング技術を活用してIT関連分野に進出。群馬県沼田に最新鋭の工場を建設し、非常に高性能なフィルムの開発に成功した。現在、プロテクトフィルムは情報電子事業の売上の約6割以上を占める稼ぎ頭に成長している。 「当社の保護フィルムは世界市場のシェア7割以上を占めています。開発後の3年間で生産コストを半減させようと、開発部門と工場が一体となってコスト削減に取り組みました。結果、品質と価格で他社とは圧倒的に差が付いています」(同氏)  近年、テレビの大型化が進み、大画面用の液晶パネルに使われる幅広の保護フィルムの需要が伸びている。また、コンピュータゲームをスポーツとして捉える「eスポーツ」の世界市場が広がっており、大画面化への市場ニーズが高まっていることから、同社は設備増強の投資を行って大型の保護フィルムの供給を増やしていく計画だ。










▲光学用表面保護フィルム



建築資材が成長けん引 先端医療分野にも注力


第3の柱である建築資材事業は売上高179億4700万円(19年3月期)、売上比率16%を占める。長年培ってきた技術を活用し、トンネル用防水シート等の土木資材や建築、設備、構造資材を提供している。 「首都圏の再開発を追い風に商業ビルの煙突や空調用配管など、また職人不足に対応した簡易施工の一般住宅用空調ダクトなどが伸びています。当社の成長をけん引している分野です」(同氏)  今後は既存の3事業をバランスよく成長させるとともにライフサイエンス事業の1つとして取り組んでいる先端医療分野にも注力していく。同社は再生医療の分野で注目されているiPS細胞などの大量培養技術を持っており、将来の事業化に向けて外部企業や大学機関との連携を強化している。  また、グローバル展開を一層強化し、およそ5年間で海外売上の比率を現状の約3割から4割に拡大させる計画だ。

「東南アジアにはインドネシアなど3カ国に拠点があり、旺盛な成長を見据えていく。欧米では新機能を付与したハイエンド品の展開を推進していきます」(同氏)













▲トンネル用防水シート



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