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西華産業【8061・プライム】三菱系の機械商社


27年3月期売上高1100億円目標

好収益性の「プロダクト事業」で成長図る



 西華産業は西日本を地盤とする三菱系の老舗機械商社だ。電力会社を中心に繊維から食品まで幅広い顧客を抱えている。現在3期連続増収増益中の同社は今期からセグメントを3つに変更。今後の飛躍に向け、子会社群で構成された利益率の高い「プロダクト事業」が重要な事業の一つとなる。2027年3月期売上高1100億円に向けカギとなるのは「経営人材の育成だ」と櫻井昭彦社長は語る。

 

櫻井 昭彦 社長

Profile◉さくらい・あきひこ

1959年1月生まれ。愛知県出身。89年、西華産業入社。2005年、同社大阪営業第二本部機械第二部長。13年、同社執行役員東京営業第一本部長。14年、同社取締役上席執行役員営業統括本部副本部長。18年、同社代表取締役社長執行役員就任(現任)。


 

西日本地盤に事業展開

〝三菱重工のナンバーワン代理店〟



 同社は戦後の財閥解体に伴って、1947年に設立された三菱系の機械商社だ。西日本を地盤に、発電関連の機器等を取り扱うエネルギー関連事業を電力会社向け中心に展開してきた。61年には東証一部に上場。主要エネルギーの移り変わりや、発電設備を必要とする民間企業へも顧客を拡げてきた。これに伴って、産業機械の取扱いも増やしてきた。

「大袈裟かもしれませんが我々の仕事は日本のエネルギー源を安定供給するという意味でとても重要度が高いと思っています。創業の経緯もあり、三菱重工業(7011)のナンバーワン代理店として活動していますのでその実績もあり、2000社以上との取引があります」(櫻井昭彦社長)

 ビジネス領域は「エネルギー事業」、「産業機械事業」、そして注力している「プロダクト事業」の3つで構成されている。

 祖業であるエネルギー事業では関西電力などの電力会社各社が顧客だ。同社は発電機器等のメーカーとのパイプ役として国内発電プラントの新設商談から、実際の建設時での工程管理、その後の定期検査・改修工事等アフターサービスまで行う。

 二つ目の産業機械事業では繊維、フィルム、食品・飲料などの幅広い産業向けに機械の導入提案をしている。例えば工場の省人化に伴う必要な設備の提案・販売からメンテナンスなどを手掛けるのがこの事業だ。

 三つ目のプロダクト事業は計測機器やバルブなど幅広い製品を取り扱う事業。船舶用エンジンを扱うセイカダイヤエンジンや日本ダイヤバルブ、Tsurumi(Europe)GmbH(ツルミヨーロッパ)など子会社の売上を中心としている。

 今期(2024年3月期)の業績は売上高が前期比1・8%増の950億円、営業利益は同20・2%減の37億円を予想。各セグメントで見ると、エネルギー事業は売上高320億円、営業利益が9億円。産業機械事業が売上高330億円、営業利益5億円。プロダクト事業は売上高300億円、営業利益が23億円の計画だ。プロダクト事業の営業利益率は5%を超えており、利益貢献度の高い事業となっている。



飛躍のためプロダクト事業創出

高い専門性持つ企業をM&A



 エネルギーも産業機械もクライアントは大手企業であり、プロジェクトも大規模。つまり、数年がかりで計画を進めていくのが常だ。長期で取り組む安定したビジネスである一方で、西華産業としての独自色や主体的な成長戦略を描きづらい面もある。

 そこで同社は次のステージへの成長のため05年に、現プロダクト事業の前身であった事業を推進に向け、日本ダイヤバルブを子会社化した。16年には敷島機器をM&A、20年にはセイカダイヤエンジンを設立するなどグループを拡大してきた。

「結果的に赤字決算もありましたが、ここ数年は事業会社の整理をしていました。利益を押し下げるマイナス要因の収益構造などを精査して、事業継続の可否の判断を進めるなどしています。正直、社員からは投資した事業の成り行きを心配する声も聞こえていましたが、願望先行ではなく事業として成り立たない事業は止める、赤字決算覚悟で判断しました」(同氏)

 そして拡大した事業のさらなる選択と集中を図るため今期からプロダクト事業を含めた、3セグメントへと変更した。既存事業で行う顧客営業に対し、プロダクト事業は独自性、専門性の高い製品を扱う子会社中心の事業。グループとなった会社の個性を活かしたスケールアップを行っている。

「例えば子会社のセイカダイヤエンジンでは船舶用設備の販売などについても各地漁協との連携をとるために拠点を設けています。そうすることで設備販売の際に併せて船の入れ替えを行うなど付随提案が可能となります」(同氏)



現中計は既存事業の拡大フェーズ

次のステップへ経営人材育てる


 同社では27年3月期を最終年度とした中期経営計画が進行中だ。最終年度の目標として売上高1100億円、営業利益52億円を掲げている。目標達成に向け、展開する3事業を着実に伸ばしていく。特にプロダクト事業の成長が収益力を上げるための鍵だ。しかし同事業売上の多くが同社の子会社群によるものとなっており、その構造が課題にもなっているという。

「プロダクト事業は成長のための重要なセグメントではありますが、すぐに伸びるわけではないと考えています。たとえいいビジネスができる新しい子会社を作っても適正に経営できる人材がいなくてはいけません。そういう意味で今は設備投資などを行いながら既存のビジネス、既存の子会社を成長させつつ、経営人材の育成を行っていくフェーズだと考えています」(同氏)

 同社は現在、3期連続増収増益で着地し、今期も売上は増収を計画している。また、政策保有株式も25年3月期には20%未満を目標とした縮減を進めるなど資本効率の向上を図り、長期的視点での着実な成長に向け、準備を進めている。




 

2023年3月期 連結業績

売上高

933億1,100万円

9.4%増

営業利益

46億3,600万円

21.2%増

経常利益

62億8,600万円

62.1%増

当期純利益

50億100万円

122.6%増


2024年3月期 連結業績予想

売上高

950億円

1.8%増

営業利益

37億円

20.2%減

経常利益

43億円

31.6%減

当期純利益

29億円

42.0%減


※株主手帳23年11月号発売日時点




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