• 株主手帳編集部

CARTA HOLDINGS【3688・東1】電通グループのインターネット広告企業 アドテクノロジーと顧客基盤に強み


近年、急成長を遂げているインターネット広告業界の勢力地図が 固まりつつある。業界首位で独立系のサイバーエージェント、2 位で博報堂グループのD・A・コンソーシアムホールディングス (DAC)に続く第3局として、電通グループにCARTA   HO LDINGS(カルタホールディングス、3688・東1)が誕 生した。同HD傘下のVOYAGE   GROUP(以下ボヤージ ュグループ)の創業者であり、現在は同HD代表取締役会長の宇 佐美進典氏に統合の狙いや今後の展望を聞いた。





宇佐美 進典 代表取締役会長(うさみ・しんすけ)

1972年生まれ、愛知県出身。早稲田大学商学部卒業後、 トーマツコンサルティング(現デロイトトーマツコンサルティン グ)にて業務改善プロジェクト等に携わる。99年アクシブド ットコム(現VOYAGE GROUP)を創業。2001年サイバー エージェントの連結子会社となり、05年から10年までサイ バーエージェントの取締役も兼務。12年にMBOし、14年 マザーズ上場、15年東証一部上場、18年CCIと経営統合し、 CARTA HOLDINGSの代表取締役会長に就任(現職)。





運用型広告とブランド広告の企業が統合


同HDは2019年1月、東 証一部上場企業のボヤージュグ ループと、電通のインターネッ ト広告子会社サイバー・コミュ

ニケーションズ(CCI)の経 営統合によって誕生した持株会 社だ。ボヤージュグループはC CIの全株式を取得し、同HD を設立。それに合わせて電通に 対して 53 %の新株を発行して資 本業務提携を行った。 両社の経営統合は、広告最大

手ながらもインターネット広告 の分野ではサイバーエージェン ト、博報堂グループに先行され ていた電通が、同分野に本腰を 入れることを意味している。 ボヤージュグループは、宇佐 美氏が1999年に立ち上げた ベンチャー企業だ。インターネ

ット広告技術のアドテクノロジ ー事業を主力とし、サービスや 通販の広告主などに提供するパ フォーマンス重視の運用型広告 を強みとする。 一方、CCIは、ヤフーの広 告枠を販売する会社として 96 年 に創業したインターネット広告 業界の老舗企業だ。広告媒体と 広告主をつなぐメディアレップ 事業を展開し、マスメディアや 大手企業などに強い顧客基盤を 持つ。 「インターネット広告市場は、 パフォーマンスを追求する広告 の市場と、ブランド認知を高め ていくための広告の市場がきれ いに2つに分かれていました。 広告主も違えば、掲載するメデ ィアも違っていた。ところが最 近は、この2つの市場の境界線 が曖昧になってきています。 元々ボヤージュグループは、ネ ットでの販促や会員登録などの パフォーマンス広告に強く、C CIはブランド広告に強い。両 社が手を組むことでそれぞれの 強みとする広告をセットで提供 できる体制が出来上がったと言 えます」(宇佐美進典代表取締 役会長)


「CARTA2022」策定  新会計基準を早期適用


同HDは、2019年度から

22 年度までの中期経営計画「C ARTA2022」を策定。広 告販売の「パートナーセールス 事業」、プラットフォームを開 発・提供してメディアの広告収 益を最大化する「アドプラット フォーム事業」、自社メディア の企画やECサイトの運営など を行う「コンシューマー事業」 の3事業を基軸とし、事業シナ ジーの推進、電通グループとの 協業推進、経営基盤の強化に取 り組む。 同中計では、 12 月期への決算 期変更の経過措置として、20 19年度は 15 カ月の変則決算を 実施。また、企業会計において21 年4月以降適用が予定されている「収益認識に関する会計基 準」を 19 年1月より早期適用し、主要事業の売上高をグロス計上 からネット計上に変更した。 19 年 12 月期の通期連結業績予想 は、売上高260億円、営業利 益 25 億円、経常利益 25 億円を計 画している。


「グロス計上の場合、ボヤー ジュグループとCCIの売上高 を合わせると約1300億円規 模になりますが、統合して新会 社になったのを機に、先行して 新会計基準を適用しネット計上 しました。一般投資家の方には 数字がどう変わるのかが見えに くい部分があると思います。次 の説明会で前年比を含めての比 較も出せるようにしようと考え ています」(同氏)

また、 22 年の経営目標を売上 高320億円、EBITDA 60 億円、ROE(自己資本利益率)12 %としている。EBITDA は、税引き前利益に支払い利息、 減価償却費を加えて算出される 利益であり、買収時や合併時に 計上するのれん償却費が営業利 益から引かれる前の利益を示す。 「今後もM&Aを考える上で、 営業利益ベースで目標を掲げる と、良い案件があっても見送ろうという話になってしまう可能 性があり本末転倒。3事業のう ちのコンシューマー事業に関し てM&Aを含めた成長戦略を図 っていきます」(同氏)


オフライン広告の デジタル化を推進


2018年の国内インターネ ット広告市場は前年比 16 ・5% 増の1兆7589億円と右肩上がりで拡大。同HDのネット広 告市場のシェアは7〜8%であ り、既存事業の強化等により一 層のシェア拡大を図っていく。 また、電通と連携し、テレビ 広告や屋外広告などのオフライ ン広告のデジタル化に取り組ん でいく。 「テレビ広告のデジタル化に ついては、相当長い時間軸では ありますが、ネット経由で見ら れるテレビの配信が増えてい き、どの番組を誰が見ているか に応じてどんな広告を出していくかというところまで広がっていくと思います。屋外広告につ いてもデジタル化が急速に進んでいく。非常に大きい市場であ り、電通と当社が連携をとりな がら広告市場のデジタル化を推 進していきます」(同氏)


新社名CARTAはポルトガル語で「海図」


新社名のCARTA   HOLDINGSには、統合した2社 の思いが込められている。CA RTAはポルトガル語で「海図」 を意味し、イングランドの民主 主義の礎となった「マグナ・カ ルタ(大憲章)」に由来する。 「ボヤージュグループの企業 イメージである『航海』との親 和性が高い言葉。また、CCI は日本のネット広告の基準を作 ってきた会社です。新社名には、 『これまでの常識に捉われず、 自ら新たな航路を切り拓き、新 しい海図を描いていく』という 思いを込めています」(同氏)








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