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  • 株主手帳編集部

鳥居薬品【4551・東1】JTの医薬事業担う製薬メーカー22年度営業利益黒字化目指す

日本たばこ産業(JT)の子会社として医薬事業を担うのが、中堅製薬メーカーの鳥居薬品だ。米国ギリアド・サイエンシズ(以下ギリアド社)との間で抗HIV薬の独占的販売権に関するライセンス契約を終了したため、2019年12月期は営業赤字となる見込み。新中期経営計画を策定し巻き返しを図る同社の松田剛一新社長に今後の戦略等を聞いた。




松田 剛一 社長

1967年生まれ。京都大学工学部卒業後、90年日本たばこ産業入社。執行役員医薬事業副部長、医薬事業部顧問など経て2017年鳥居薬品取締役医薬営業副グループリーダー兼営業企画部長に就任。19年代表取締役社長に就任(現任)。








 鳥居薬品(以下同社)の18年12月期の売上高は625億5100万円。このうちの3分の

1の約210億円は抗HIV薬によるもの。親会社のJTがギリアド社と抗HIV薬の独

占的販売権に関するライセンス契約を締結し、03年から同社が抗HIV薬6品の国内での

販売を行ってきた。しかし、このほどギリアド社が新規の抗HIV薬を開発。その販売を自社で行うとともに、同社が販売している抗HIV薬6品に関するライセンス契約の解消が提案された。同社とJTは協議の上、販売権の返還を決め、その対価として約400億円の支払いを受けることが正式に決定した。


「海外市場では新規の抗HIV薬への移行が進んでいること、また、抗HIV薬がギリアド社と当社の2社から出ていると医療現場が混乱することになりかねず、同じギリアド社から情報提供されるかたちがより望ましいとの考えから契約終了に至りました」(松田剛一社長)


ライセンス契約終了の影響により、同社の19年12月期業績は前期比約4割減の売上高380億円、営業損益32億円の赤字になる見通し。この状況を踏まえた19〜21年度の3カ年の新中期経営計画では事業構造改革と成長戦略を2本柱とし、22年度の営業利益黒字化を目指す。事業構造改革の主な施策として、約1200人の人員体制を800人規模に縮小する方

向での希望退職者募集を実施。また、研究開発機能をJTに統合し、支店の統廃合や本社組

織の再編等を行う。工場生産品目についても段階的に縮小していく。


腎・透析など3領域に注力


今後同社は、腎・透析領域、皮膚疾患領域、アレルゲン領域の3つを重点領域とし、新薬へ

のシフトを図る。成長戦略の最大の柱は、JTとの共同開発品である3製品の上市及び価値最大化だ。1つには、アトピー性皮膚炎を適応症とする外用薬(塗り薬)が現在申請中であり、予定通り承認されれば来春発売の見通し。また、腎性貧血を適応症とする

経口剤が開発段階のフェーズ3であり、新中計の3カ年の間に発売される見通しだ。「これに加えて、高リン血症治療薬の『リオナ』を鉄欠乏性貧血に適応拡大するための臨床試験がフェーズ3の段階にあります。この3製品の価値を最大化していくことが成長戦略のまず何よりのベースです」(同氏)

同社は1998年にJTグループ入りし、JTが世界的創薬、同社が国内販売を担うとい

う協業体制を展開している。新中計を機にJTとの連携を一層強化し、新規導入品の獲得

や革新的医薬品の共同開発を推進していく方針だ。

「1872年に横浜で洋薬輸入商として創業し、後に製薬メーカーに転身した歴史の中で、

様々なステークホルダーから信頼をいただいているのが当社の有形無形の強み。現在行っ

ている事業構造改革においても、歴史の中で培ったステークホルダーとのパイプをしっか

りと受け継いでいきます」(同氏)