• 株主手帳編集部

鳥貴族【3193・東1】298円均一の焼鳥居酒屋を全国展開「アメーバ経営」徹底で利益が復活

関東・関西・東海で659店の焼鳥居酒屋を展開する鳥貴族(3193)は、17年の値上げをきっかけに不振が続いたが、経営の見直しで利益改善が進み、客数・客単価ともに上向きつつある。海外進出の第一歩としてロサンゼルスへの出店も発表。利益回復の理由と今後の成長戦略を聞いた。

大倉忠司社長

PROFILE◉おおくら・ただし

1960年大阪府生まれ。1982年やきとり道場入社。1986年鳥貴族設立、代表取締役社長就任(現任)。







エリア単位の店舗経営管理

販管費削減で利益を大幅改善


同社は1985年に大阪府で開業。全メニュー均一価格、国産鶏肉使用を掲げ大量出店を続けてきた。2017年にそれまで28年間続いた280円の均一価格を298円に値上げしたことで、客単価の前年割れなど低迷が続いたが、2019年7月期には前期出店店舗が軌道に乗り、過去最高売上高を記録した。

「14年のIPO以降メディアに取り上げられる機会が増え、それが客数を押し上げていきましたが、新規顧客の獲得以上に出店を増やしたことでバランスがくずれてしまった。現在の客単価はIPOした当時の水準で安定しています」(大倉忠司社長)

 利益面でも大きく改善した。今年3月、同社は店舗売上高の減少などを理由に19年7月期初の営業利益予想を約10億円下方修正し、6億7800万円とした。しかし期末決算では営業利益11億9000万円を確保することができた。この利益改善の背景にあるのは、同社が

19年度の下期から導入した「アメーバ経営」だ。

 アメーバ経営とは、会社組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団に分け、その集団単位で収支を管理するもので、京セラの社長だった稲盛和夫氏が編み出した経営手法のこと。同社では大倉社長が先頭に立ち、社内のアメーバ経営の会議すべてに参加するなどして推進に努めてきた。同社は直営店舗を50のエリアに分け、それぞれにエリアマネージャーを配置しているが、現在は各マネージャーがアメーバ経営に取り組み、店舗の採算管理をしている。この施策によって販管費を大幅に削減することができた。

「アメーバ経営を進めることで、ガス、電気、水道の費用それぞれを店舗レベルで毎月把握し、管理できるようになった。店舗備品の管理も進んでいる。いまは前期比で毎月数千万円が戻っている状況で、年間にするとかなりの額になります。このアメーバ経営を、最終的には店長レベルまで落とし込みたい」(同氏)


国内は地方中心に出店拡大

22年にはロサンゼルスへ進出


出店戦略の見直しも進んでいる。9月に発表した新中期経営計画では、2024年7月期までに売上高450億円を目指しており、この達成のためにはさらなる出店が必要だ。今後は店舗網を再構築し不採算店の整理を継続するとともに、これまで出店していなかったエリアのマーケティング調査を進め、新たに店舗を展開する。

「地方では鳥貴族の知名度は低い。しかしこれは認知さえ広げていけば、まだまだ新規顧客が広がるというチャンスだと思っています。また既存エリアでもマーケットを再調査し、適合したところに出店していきます」(同氏)

 新中期経営計画では、海外市場への進出も発表された。2022年7月期中には海外1号店として、アメリカ・ロサンゼルス店のオープンを目指す。当面はアジア人の多いロサンゼルスなどカリフォルニア州近辺での出店を予定している。

 「2ヶ月に1度ロサンゼルスに行っていますが、現地ではヘルシーブームでチキンが伸びている。焼き鳥はフライドチキンより健康的であることをうまく訴求していきたい。

 また、インバウンド客が日本で食べたいものを聞くと、焼き鳥が上位になっている。いま焼き鳥で世界に進出するチャンスだと思っています」(同氏)

 

10月に開催された株主総会では、社外取締役として清宮俊之氏と佐々木節夫氏が選任された。清宮氏はラーメン店「博多 一風堂」の前社長でアジア・欧米への展開の中心となった人物で、佐々木氏はアメーバ経営のコンサルティングを展開するKCCSの前社長である。この人事には同社の成長戦略がはっきりと表れている。

 同社の長期ビジョンでは、国内・国外で2000店舗以上、フランチャイズを含めたチェーン年商1800億円を目標としている。「日本市場は人口減少で間違いなく縮小していく。ですから今後はグローバル企業に成長することが重要になります。社内では“焼き鳥で世界平和に貢献しよう”と言っているんですよ。食は人を楽しく、仲良くさせる大きな力を持っています。民間が結びつけばきっと平和を作っていける」(同氏)

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