• 株主手帳編集部

NexTone(ネクストーン) 【7094・マザ】音楽著作権管理事業の新会社JASRACの対抗軸として成長目指す

 音楽の著作権管理を手がけるNexTone(ネクストーン)が3月、東証マザーズに上場した。音楽著作権の管理事業は一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC=ジャスラック)が法律で唯一認可された団体だったが、2000年に新たな法律が成立したのを機に新規参入した2社が合併して同社が誕生。JASRACの牙城の切り崩しに挑む。

阿南 雅浩社長

Profile◉あなん・まさひろ

1986年4月シービーエス・ソニーグルー

プ(現ソニー・ミュージックエンタテインメント入社。2007年9月エイベックス・グループ・ホールディングス(現エイベックス)執行役員、2014年6月エイベックス・ミュージック・パブリッシング代表取締役社長に就任。2015年3月イーライセンス(現ネクストーン)取締役、10月代表取締役社長に就任。2016年2月ネクスト

ーン代表取締役CEOに就任(現任)。

民間2社が合併し発足

管理作品数17万曲に拡大


 NexTone(ネクストーン)は、規制緩和を目的とする「著作権等管理事業法」の成立を機に、音楽著作権管理事業に参入した民間会社のイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)が合併して2016年に発足した。

 音楽著作権は演奏権、録音権、出版権、貸与権の大きく4つに分けられる。その権利の管理を権利者(作詞作曲家等)から委託され、利用者(放送局等)に利用を許諾し使用料を徴収・分配する業務が著作権管理業務だ。

 この業務の市場規模にあたる著作権使用料徴収額は全体で約1200億円であり、JASRACの徴収額が現在でも約95%のシェアを占めている。

 後発の同社は徴収額シェアとしては5%程度だが、管理作品数を16年度の約10万曲から3年後の20年度には約17万曲に伸ばして業績を拡大。20年3月期の連結業績は売上高34.1%増の43億4500万円、営業利益は67.5%増の3億500万円となった。

 著作権管理業務は元々、非営利団体のJASRACが国内では唯一の団体として独占していた。法改正以降、JASRACは音楽著作権を4つの権利(支分権)と7つの利用形態に細分化し、それぞれに管理手数料率を設定。全国に支部を配置して徴収業務を行っている。

「JASRACは著作権管理事業においては非常に優秀です。ただ、一社独占の時代は競争原理が働かず様々な不具合が生じていると感じていました。現在も演奏権は独占しており、手数料を含め権利者に選択肢がありません。当社は民間企業としてすべての支分権管理に参入し、利用者や利用形態に応じたきめ細かいサービスを用意し、音楽ユーザーの立場も尊重したサービスの提供を行ってまいります」(阿南雅浩社長)


音楽プロモーション支援など

『攻め』のビジネス展開


 同社の主力は売上高の約9割を占める「著作権等管理事業」だが、大元の音楽著作権管理のシェアについては先行のJASRACに大きく水を空けられている。この著作権管理の市場を取るべく、同社は独自のノウハウを活用した『攻めのビジネス』を展開し、「最終的には市場シェアの半分を取る」(阿南社長)ことを目標としている。

 その戦略の1つが「デジタルコンテンツディストリビューション(DD)業務」だ。これは前身のイーライセンスが始めたビジネスであり、JASRACが未開拓の領域だ。アップルやユーチューブなど世界の音楽配信プラットフォームに原盤を供給するサービスであり、同社は音楽事務所や独立系のアーティストなど約600社と契約して世界の音楽配信事業者との橋渡しをしている。

 もう1つ注力しているのが、「キャスティング業務」だ。アーティストの音楽プロモーション支援を積極的に行い、著作権管理業務の拡大にもつなげている。


カラオケ事業者の協力仰ぎ

演奏権市場に参入


 同社の設立の狙いは、「JASRACの対抗軸としての野党連合」だ。音楽やゲームなどの業界に呼びかけて広く応援を募り、エイベックス(7860)をはじめアミューズ(4301)、フェイス(4295)、コーエーテクモホールディングス(3635)、ソニー・ミュージックエンターテインメントなど大手が株主となって2社合併が実現した。上場の目的は信頼性の担保であり、調達した資金は人材採用とシステム開発に投資する。

「音楽が新しいメディアとともに複雑で幅広くなっており、適正な配分をするには複雑なシステム開発が必要です。競争力の源泉はシステム開発であり、上場して集めた資金はシステム開発に投資します。当社はシステム会社の子会社を運営し、複雑な著作権管理のシステムを低コストで運営しています」(同氏)

 成長戦略として、国内の演奏権市場シェア50%以上を占めるカラオケ歌唱において、カラオケ事業者の協力を仰いで演奏権市場に参入する計画。また、世界のエンターテインメント市場は2兆円ともいわれる有望な成長市場であり、日本の音楽の海外配信を増やして海外メディアとのビジネスを拡大させていく。

「著作権は著作者の死後70年にわたって存続する権利であり、安心して楽曲を預けられる会社でなければなりません。そのためにパブリックカンパニーであることは重要であり、個人の投資家さんたちに当社を知っていただきたいと考えています」(同氏)







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