• 株主手帳編集部

ETSホールディングス【1789・JQ】創業100年の送電線工事のパイオニア 電気を送り届けるインフラ整備事業を展開

創業100年の歴史を有し、電気設備工事、送電線工事のパイオニアとして事業を展開するのがETSホールディングスだ。日本の産業や生活に電力が欠かせない今日、同社は独自の

技術によって送電線等のインフラ整備を担っており、東日本大震災などの自然災害からの復興事業に大きく貢献している。近年はそのノウハウを活用して新分野の開拓にも挑戦している。

三森 茂社長

Profile●みつもり・しげる

1949年1月21日生まれ。78年マルミ電気代表取締役社長。86年東京管理サービス(現アムス・インターナショナル)入社。専務取締役を経て2005年アムス・インターナショナル社長に就任。12年7月ETSホールディングス顧問に就任し、12月代表取締役社長に就任(現任)。


「歴史あるチャレンジ企業」

電気工事業と建物管理業展開


 1922年に創業した同社は、日本の高度経済成長期における数々の高圧送電線工事及び超高圧送電線工事を手掛け、電気工事専門会社としての実績と企業ブランドを築いた。

95年に日本証券業協会(現東証ジャスダック)に株式上場。「歴史あるチャレンジ企業」を掲げ、単一事業にとらわれることなく幅広い事業を展開している。

 収益セグメントは、大きくは電気工事業と建物管理業の2分野で構成。主力の電気工事業の売上高は46億6500万円(2019年9月期)であり、売上比率約85%を占める。現代の生活に欠かせない電気は発電所でつくられ、送電線(架空送電鉄塔と配電線)を通って一般家庭や企業等に送られている。同社は、鉄塔の基礎工事や組み立て工事、電線を張る架線工事などを中心に、送電線に関するあらゆる工事を電力会社と協力して行っており、他に省エネ設備工事等にも取り組んでいる。

 売上比率約15%を占める建物管理業では、子会社の東京管理が建物設備管理、建物巡回清掃、マンション管理、ホテル清掃を行っている。設備投資動向に影響されないストック型ビジネスであり、19年9月期においては8億5400万円を売り上げている。


架空送電鉄塔の

リニューアル需要に対応


 国内の送電設備の多くは、設置場所の条件等にもよるが約40年といわれている耐用年数を迎えており、架空送電鉄塔のリニューアルや電線の張替え等の需要は今後急速に高まるという。

「今、国内には送電用の架空送電鉄塔が約23万8000基あり、その半分が法定耐用年数の約40年を超過しているといわれています。架空送電線については地球の約3周半分、約13万8000㎞の長さがあり、それも約半分が老朽化しています。これは実は大問題。19年9月の台風でも千葉県内の送電鉄塔が傾いて数十万戸が停電しました。ですから早期に解決しなければいけない問題です。当社は東北地方がメインであり、東北電力管内には約4万7000基の架空送電鉄塔がありますので、他の電力会社のものも含めて送電設備の更新又は改修工事需要が高まり長期に続くと考えています」(三森茂社長)

 架空送電鉄塔の高さは最も高いもので150m(但し島と島をつなぐ送電鉄塔には高さ226mのものも現存)近くになる施設だが、同社はその高所で働く技術者(ラインマン)を

20数名抱える。また、独自技術の鉄塔嵩上げ装置を提供して他社との差別化を図っている。

 

 19年9月期の送電線事業の業績は前年同期比28・9%増の19億7500万円であり、将来的には30億円規模に伸ばす計画。

 送電線鉄塔工事で培ったノウハウを活用し、再生可能エネルギー事業として太陽光発電所の施工なども行っている。最大45度の急傾斜地に太陽光パネルを約9000枚強設置した技術を使って国内26の発電所の工事を施工した実績を持つ。

「再エネは世界規模で進めなければいけない問題。当社は独自技術を活用し、再生可能エネルギーで作られた電力を各電力会社の送電網へ送るための特別高圧変電所の施工にも注力しています」(同氏)


独自技術の鉄塔嵩上げ装置













5G基地局の設置工事や

病院Wi─Fi工事を新展開


今後の成長戦略として20年9月期から次の新分野を展開する。1つは、第5世代移動通信システム(5G)基地局の設置工事だ。無線ブロードバンドのナビック社(非上場)と協業し、大手携帯キャリアの5G基地局の工事を受注する。ナビック社の試算によると、基地局工事費用の市場規模は年間300億円が見込まれ、そのうちの10%の年間30億円が同社を含めた独立系の電気工事会社向けの市場になることが想定されている。

 2つめは、病院向けWi─Fi工事の受注だ。入院患者らがテレビカードを購入してWi─Fiを使用できるシステムの工事をナビック社が介して同社が受注する事業であり成長が期待されている。

 3つめは、国が電力自由化の一環として進める「発送電分離」への対応だ。国は送電能力を増強させることを目的に、再生可能エネルギー発電量が比較的多い北海道・東北と首都圏を送電線でつなぐ「連系線」の強化整備を国家プロジェクトとして推進しており、同社も参加して工事を手掛ける予定だ。

「電気設備工事の上場会社は多数ありますが、当社は送電線関連の土木工事と設備関連の電気工事の両方をできることが他社との差別化になっています。市場は中長期的に伸びる環境にあり、今後は人材確保などに注力して受注体制を一層強化していきます」(同氏)


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