• 株主手帳編集部

IFAインタビュー 一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会  資産運用支援するプロフェッショナル協会設立で認知度と専門性向上図る

 2004年の誕生以来、国内で約1000社、約3500人が活動している独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)。彼らは、金融商品仲介業の登録業者として、どの金融機関にも属さず中立的立場から資産形成・運用のアドバイスを行う専門家だ。欧米では既に社会的地位を確立しているが、日本での知名度はまだ低い。そこで昨年、IFAの知名度と専門性向上を目的に、一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会が設立された。国内150兆円もの個人金融資産を運用する新たな金融のプロとして、IFAはどのような活動を行っていくのか、中桐啓貴理事長に聞いた。


中桐啓貴 理事長

プロフィール◉なかぎり・ひろき

1997 年甲南大学経営学部卒業後、山一證券に入社。メリルリンチ日本証券を経て、ブランダイズ経営大学院に留学。MBA(経営修士号)取得し帰国後、2006 年にIFA 法人GAIA 株式会社を設立。2020 年4 月、一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会理事長に就任。





米国では1990年後半から普及

日本では2004年に誕生


――IFAの特徴とビジネスモデルは。


中桐 証券会社から独立していることで、ノルマなどの制約がなく、顧客にあった会社の商品を勧められるのが強みです。また、従来の証券会社では、異動や転勤で数年おきに営業スタッフが変わりますが、IFAは独立しているため異動等はなく、顧客と長期的な関係を築くことができるのです。ビジネスモデルは、顧客からの注文を取り次ぎ先の証券会社につなぐことで得る販売手数料と、運用実績による残高フィーです。


――米国では1990年代後半から普及してきました。


中桐 米国では約13万人が活動しており、個人資産の約30%を取り扱うまで成長しました。IFAは弁護士や税理士と並ぶ地位を確立し、投資家にとって重要な役割を担っています。1995年ごろから売買手数料無料化の流れがあり、これまでのブローカー的な発想からアドバイザーへの転換が進んできました。


――日本では、2004年12月に金融証券仲介業が解禁され、IFAが誕生しています。


中桐 日本の資産運用を取り巻く環境は、大きく変わりつつあります。少子高齢化により、社会保障制度が様々な課題に直面している中で、個人の資産形成・資産管理の重要性が高まっています。一方金融庁は、金融事業者が顧客本位の業務運営に努めることが重要という指針を定めました。そんな中、単に金融商品の仲介を行うのではなく、顧客のライフステージに応じた資産計画の策定や、資産関連の総合的なアドバイス及び実行支援するファイナンシャル・アドバイザーの必要性が高まってきたのです。今では登録しているIFAの数は約3500人ほどです。この数は年々増加しています。


――米国とは10年以上のタイムラグがあるとはいえ、日本のIFAの数はずいぶん少ないですね。


中桐 これは日本の証券会社の在り方にも関係しています。IFAは独立するにあたって、ある程度顧客の残高を持っていなければならない。しかし日本では証券会社に所属していると、3〜4年で転勤になるため、顧客との関係性が作りづらい。ですからIFAは証券会社で20年程勤めてから独立する40代が多いのです。


――ただ今後IFAが認知され、顧客が増えてくれば状況は変わってくるでしょう。


中桐 IFAは主にネット証券をプラットフォームにしています。今の若い方は対面型よりもネット証券を利用している。そこを入り口にしてIFAとの接点が生まれてくるでしょう。年齢の高い人から見れば大手の人の方が安心ということはあるでしょうが、もう少し経てばネットで投資している人にIFAを知っていただく機会が増える。


――IFAを利用する顧客層は。


中桐 日本ではリタイアした人が多い。退職金など大切な資産について信頼できる人に相談しようというわけです。協会会員の顧客は60〜70代が多い。預かり資産は平均3000万円、多い人だと1億円規模になります。


――若い人はまだ少ないですが、今後のライフステージに合わせた最適な資産運用をアドバイスしてもらえるというメリットがある。


中桐 顧客のゴールを確認したうえでそれを実行できるように、単にプランニングだけではなく、人生を伴走していく、それが我々の仕事です。そのため10年20年と長い付き合いをしてもらうのが重要です。


――証券会社だけではなかなか、ここまでのフォローは出来ない。手数料ビジネスでは、株が高くなったらどうしても売りましょうとなってしまう。


中桐 だから、残高ベースにしておくことで、お互いウィンウィンとなる訳です。


――今後は株式売買の販売手数料はなくなりつつあるため、証券会社も収益構造の転換を図らざるを得ない。


中桐 このためIFAの存在感がますます高まるはずです


正会員15社含め60社参画

分科会や研修通じ教育活動


――協会を発足させた理由は。


中桐 顧客への資産形成・運用のアドバイスとその実行支援の双方を提供する長期的なライフ・パートナーであるべきファイナンシャルアドバイザー(FA)には、専門知識・技能と厳格な顧客本位の姿勢が必要です。現状では、FAのほとんどが小規模な事業者として個別で活動しているため、質の高いサービスの提供に必要な情報や研修機会が不足しています。このため、専門性や提供役務の水準は業者によってまちまちです。IFAの一般的な認知度は低く、FAの普及に必要な土壌が十分ではありません。このため、FAが真に顧客の立場に立ち、アドバイスを行うための支援と、日本での、FAの普及促進などを目的として立ち上げました。


――設立から1年近く経ちましたが、活動状況は。


中桐 昨年は地固めの年として、規程の整備や会員審査体制の整備、ホームページの構築などを行ってきました。


――12月にはIFA向けにオープンセミナーを実施しました。


中桐 初めて実施したのですが、おかげさまで300〜400件の申し込みがあり、上々の立ち上がりといえそうです。


――今年は会員の増加を図るとともに、分科会を積極的に行っていく計画です。


中桐 会員の専門性向上につながる教育・研修や、専用サイトによる会員間の情報共有、営業ツールの紹介などの会員の業務支援など、もちろん顧客に対する金融リテラシーの向上など、協会としての役割は多岐にわたります。これらを継続的に進めていきたい。


――ここ数年、IFA経由の資産残高が増加しています。


中桐 当協会でも顧客本位の業務運営に取り組むIFAの支援や普及促進に努めていきたいと考えています。


約3500人が活動

 IFAとは「インディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザー」の略。複数の証券会社と業務委託契約を締結し、顧客の資産運用に最適な金融商品を仲介する。金融商品仲介業者として金融庁に登録が必要となる。ネット証券や中小証券会社と連携しているケースが多い。平均的なIFAの1人当たりの顧客数は20〜30名、顧客金融資産規模は3000万円以上、平均支配資産は約10億円といわれている。一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会では、正会員15社のほか、賛助会員など計60社が参加している。