• 株主手帳編集部

JPホールディングス【2749・東1】好待遇の給与と職場環境で保育士確保し、成長続ける 2025年には新規事業、資本提携で売上1000億円目指す

JPホールディングス(2749)は民間保育園など子育て支援施設を運営する最大手企業だ。

首都圏を中心に全国で保育園209園、学童クラブ76施設、児童館11施設、そして海外ではベトナムに幼稚園1園と全297施設を運営する。2019年3月期の売上高は前期比9・4%増の292億9800万円。例年10%前後の成長を続け、最高収益を連続で更新している




古川浩一郎社長

PROFILE◉ふるかわ・こういちろう

1962年2月、佐賀県出身。85年、慶応大学商学部卒業後、大和証券に入社。200年、ジェイ・プランニング(現JPホールディングス)に入社、同年6月取締役に就任。06年ジェイキャスト取締役、13年日本保育総合研究所取締役などを経て、18年6月、代表取締役社長に就任(現任)。






 同社の保育事業は、もともと女性従業員のための託児所を設置したことから始まった。2000年、株式会社の保育所事業の参入が認められたのを機に、主に保育園、学童クラブなどの子育て支援事業を本格的に展開。近年では子育て世代の共働き、核家族化が進み、保育園のニーズが高まるなか、首都圏を中心に2桁ペースで施設数を増やしている。

 その持続的成長を支えているのが、安定した保育士の採用だ。保育業界では、休みがとれない、仕事が大変な割に処遇が低いなどの理由から保育士は慢性的に不足しており、有資格者は全国に118万人いるにもかかわらず、実際の従事者は42万人にとどまる。特に東京都では保育士の求人有効倍率は7倍近くと採用は困難を極める。しかし同社では給与と労働環境の両面から優位性を打ち出し、人材確保につとめる。平成18年度の保育士採用数は新卒276名、中途325名にのぼる。

「弊社の保育士は平均年収が400万円ほどで、これは全国平均の年収360万円を大きく上回ります。また朝だけ、夜だけ働くといった時短勤務を取り入れたり、保育に専念で

きるよう業務のICT化を進めるなど、労務環境の整備を進めてきました」(古川浩一郎社長)

 各取締役が施設を定期的に巡回し、現場の声を反映した職場づくりに取り組んでおり、離職率も10%と業界平均15%より低い。

 最近では人材を比較的確保しやすい地方在住の保育士を積極的に採用。そのため寮を完備し、月額1万円で利用できるようにしている。地元より給料が高く、住居費もほとんどかからない点が採用につながっているようだ。

 このように人材確保が順調に進んだ結果、同社は保育園10園を開園したほか、既存園の受け入れ拡大も行った。2018年4月1日からの1年間で、受け入れ児童の数は997人

増え、1万5055人となっている。


株式会社が経営する保育園は僅か

将来は寡占化で業界図変わる


今年10月から「新しい経済政策パッケージ」の一環として、3~5歳児の幼稚園4時間、保育園11時間の完全無償化、0~2歳児の条件つき無償化が施行された。また各自治体が

2020年3月までに待機児童ゼロを掲げ、保育園の数を増やしていることもあり、業界は大きな追い風を受けている。古川社長は無償化施行後の動向に注目している。

「お稽古事などを取り入れ、質の高い保育を提供できれば、幼稚園ではなく、保育時間の長い保育園を選ぶ世帯がさらに増えるかもしれません。無償化でどのくらいの子どもが保育

園に移るのか、未知数ですが期待しています」(同氏)


運営する保育園の様子

 大きく拡大する保育園の市場は3・5兆円ほどといわれる。そのうち民間保育園の割合は全体の7割だが、株式会社が経営する保育園はわずか6%にとどまり、94%は家族経営な

ど小規模の社会福祉法人が占める。

 社会福祉法人は補助金や税法上の扱いの点で株式会社より優遇措置を受けて現状では数的優位にあるが、最近は規制緩和や高い保育園需要に後押しされ、株式会社の保育業界への参入が増えているという。将来は事業承継の問題や経営不振などを理由に、社会福祉法人の保育園が経営を断念するケースや、全体の3割を占める公立幼稚園が民間に引き継がれるなど、業界図が大きく変わる可能性がある。

「これからは小規模経営の保育園と大手企業との資本提携が増えると思います。例えるなら小売り業界でセブン&アイホールディングスが台頭したように、企業による保育園の寡占化が進んでいくでしょう」(同氏)


利便性高い場所に狙い定めて開園

新規ビジネス創出で事業規模拡大


業界最大手として、同社の強みとなっているのは、都市部の保育園運営で培った豊富な実績だ。行政が望む保育園のロケーション・規模などの意向を取り込み、現実的なプランに落とし込むのは、小規模経営の組織では難しい。

「行政が最優先で整備を進める区域の案件をこなしてきたという自負があります。待機児童の観点から利便性の高い場所にピンポイントで保育園を作ることが求められますが、入札の際には良いロケーションが供給できるかはもちろん、保育士の数・規模などあらゆる点で優位性を提示できないといけません。都市部では企業の存在なくして、待機児童問題は解消できないと思っています」(同氏)

 2025年までの目標を見据えた「長期経営ビジョン2025」では、新規事業なども盛り込み、連結売上高1000億円規模の実現を目指すという(詳細は左上囲みを参照)。

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