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PCIホールディングス【3918・東1】M&Aによる機能拡張を鍵に7期連続増収

 PCIホールディングスは、組み込みシステムの開発を得意とする情報・通信関連企業だ。M&Aを通じて行ってきた事業領域の拡大が奏功し、2018年9月期で過去最高益を達成、7期連続の増収となった。今後はIoT/IoE関連の事業でも伸長が期待される。



原口直道社長

◎プロフィール はらぐち・なおみち

1956年10月28日生まれ、1980年東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。2003年オリックスM&A

ソリューションズ取締役社長に就任。2017年12月、PCIホールディングス代表取締役社長。2018年12月、同社代表取締役社長社長執行役員に就任(現任)。



マザーズ上場から4年 売上高は倍の160億円へ


2005年、プロのエンジニア集団としてスタートした同社は、2015年のマザーズ上場と2016年の東証一部上場を契機として、年々M&Aによりその業容を拡大してきた。2018年9月期も、M&Aで事業会社2社を子会社化。これによる事業規模の拡大に加え、既存事業も好調に推移したことから、売上総利益は前期比27・2%増と、大幅に増加している。

 PCIホールディングスと同じようなSE分野で上場している企業は事業会社が多い。一方、同社の特長は、ホールディングスという形態であることで、M&Aを通じてグループ会社を増やし、足りなかった機能を添加・補完していける点にある。

 社長の原口直道氏はオリックス出身。数多の案件を取り扱った経験のあるM&Aのスペシャリストで、6年前に社外取締役として就任して以来、その辣腕をふるってきた。2015年のマザーズ上場時の売上高は80億円程度だったが、2017年は114億円、2018年は145億円と着実に成長を続け、7期連続で増収。今期(2019年9月期)は上場時のほぼ倍の160億円を見込んでいる。また、今年度は新入社員64名を採用、社員数約1250名へと体制も強化した。


主力2分野が売上の8割 新事業が相乗効果生む


 グループ運営における事業は、エンベデッドソリューション事業、ビジネスソリュー

ション事業、IoT/IoEソリューション事業、半導体ソリューション事業の4つ。

主力はエンベデッドソリューションならびにビジネスソリューション事業だ。売上高構成比の8割近くをこの2つの事業が占め、安定的な収益基盤となっている。


 主力事業のひとつで扱うエンベデッド(組み込み)システムとは、「制御」を必要とするあらゆる製品に内蔵されているコンピューターシステムのこと。スマートフォンや自動車、家庭用電子機器から、医療機器、産業用機器に至るまで、対象は幅広い。同社は、製造業者を主とした顧客から発注を受けて基本設計・システム開発を行い、開発したプログラムをチップセットに格納して納品したものが製品に組み込まれる。一方、IоT/IoEソリューション事業と半導体ソリューション事業は、ベース部分にシナジー効果を加える役どころだ。これは、半導体トータルソリューション事業で行う半導体の設計・開発との親和性が高いのはもちろん、その組み込みシステムの開発時に培われた通信制御や組み込み制御の技術

を応用したものが、IoT/IoEソリューション事業にも活かされているという。

 また、ビジネスソリューション事業では、金融、製造業、交通、放送といった業種へのITシステムを構築すると共に、ビジネスアプリケーションの開発等も行っている。


Wi─Fi利用で各人を繋ぐ 非常時にも有効な情報網


 同グループ内で成長分野と位置づけるIoT/IoEソリューション事業では、新分野として注目される車載Wi─Fiを活用した情報システムを開発する。たとえば、V2X=車車(しゃしゃ)間ネットワークがそれだ。これは、Wi─Fi通信ユニットを搭載した乗り物と、交通管制センターのような社会インフラ、専用スマートフォンアプリを持った歩行者が、コミュニケーションをできるようにする仕組み。具体的には、交差点で周囲の車に情報を伝えることで歩行者の安全な横断を可能にしたり、走っている車が対向車に対し渋滞の存在を伝えたりすることができる。その上、非常時にも有用性を発揮するという。

「地震や火事、台風のような大きな災害が起きると、電波塔が使えなくなる可能性があります。そうした時に、車やバス、人といったみんなのデバイスを通じて情報伝達をすることが可能になるのが大きなメリットです。天災で怖いのは、情報の遮断ですから」(原口社長)


 その他、取り扱い商材としては、イスラエル系ハイテクベンチャー・トラッキモ社(本社・米国)のGPS端末「Trackⅰmо」、アメリカの国防関係が採用しているosプロテクト型エンドポイントセキュリティ商品「AppGuard」等がある。

このように同社は、創業当初と比較すると、産業を支えるのみならず、より消費者に近いサービスをも提供できる企業へと変化し続けてきた。

「これまで、10%の売上高成長は確実に行ってくることができました。創業から20年目となる2025年には、売上高300億円、営業利益20億円を目指したいと思っています」(同氏)