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ガイアックス【3775・名証ネクスト】

SNS運用支援・VC両輪のビジネスモデル

27年の売上高40億円目指す


 ガイアックスはSNS運用支援などの事業と、ベンチャーキャピタルを両軸にビジネスモデルを展開している。投資先のうち、同社に在籍していたメンバーが創業した企業4社が上場を果たした。中期経営方針では、27年の連結売上40億円などを目標に掲げている。市場競争が激化する「SNS運用代行」に新たな差別化要素を追加し顧客単価向上を実現するとともに、上場時に大きな時価総額が見込める市場に投資を絞る。


 
上田 祐司 社長

プロフィール◉うえだ・ゆうじ


1974年大阪府生まれ、97年同志社大学経済学部卒業後、ベンチャー・リンクに入社。98年同社を退社。99年、ガイアックスを設立、同社代表執行役社長兼取締役に就任(現任)。





 

累計の支援実績1000社以上

OB創業企業から4社上場


 同社のセグメントはソーシャルメディアサービス事業、インキュベーション事業の二つから構成している。

 ソーシャルメディアサービス事業では、SNS、ブログ、ソーシャルメディア活用支援、WEBマーケティング支援、デジタルコンテンツサービスなどの企画・開発・運営を主に法人に対して提供する。同社のオウンドメディア「ソーシャルメディアラボ」への問い合わせから案件を獲得している。累積の支援実績は1000社以上に及ぶ(コンサルティングを含む)。

「炎上等のトラブルを未然に防ぐSNSガイドラインの策定など、1999年に創業して以来蓄積したノウハウが強みです」(上田祐司社長)

 インキュベーション事業では、同社グループ内外のスタートアップ企業への投資育成支援を展開する。投資先企業が上場した際、株式の売却による投資利益を得ることを目指す。グループ内ではシェアリングエコノミー関連サービスの企画、運用、新規事業開発などを行っている。

 同社には、自社だけで事業を経営するのではなく、事業を分社化し、ストックオプションを付与する制度「カーブアウト・オプション制度」がある。

「全ての案件においてカーブアウト(※)を視野に入れています。そのためにも、採用では自律的に動ける人材の獲得を重視しています」(同氏)

 投資先の中から株式公開を果たした企業もある。ピクスタ(3416)や、アディッシュ(7093)など4社は、同社に在籍していたメンバーの創業企業だ。

 22年12月期の連結業績は、売上高は25億9700万円(前期比18・2%増)、営業損失2億1000万円(前期は1億9500万円の損失)で着地した。ソーシャルメディア事業では顧客数が増加し、安定的な売上が確保された。インキュベーション事業は、保有株式の売却に加え、コロナの影響が徐々に解消し、各サービスの売上が回復してきている。

 23年12月期の連結業績予想は、10月に上方修正を発表。売上高は27億2000万円 (前期比4・7%増)、営業利益1億6000万円、経常利益1億6000万円、当期純利益1億6000万円の黒字転換を見込む。 



■事業概要(同社資料より)



各サービス結び付け低単価脱却

数百億円の上場見込みに投資



 2023~2027年度中期経営方針では、27年の連結売上40億円、営業利益6億円、毎年の黒字決算を目標に掲げている。

 ソーシャルメディアサービス事業では、営業利益率20%程度を維持し、売上は年平均10%超の成長を目指す。

 市場競争が激化する「SNS運用代行」のサービスラインナップを拡充し、SNSデータ解析、クリエイティブ制作、戦略設計などのアップセルを実施。顧客単価が上昇している。今後はSNSの強みを活かしつつもSNSに頼らず、各サービスを有機的に結び付けた統合的なマーケティングにシフトしていく。

「背景には、広告市場でのSNSに対する認識の変化があります。以前はサブ的に見なされていましたが、存在感が増している」(同氏)

 インキュベーション事業では、投資パフォーマンスの高い創業時出資、カーブアウトをメインとした事業投資に特化し、大きなキャピタルゲインを目指す。数値目標としては、上場時の時価総額が数百億円、持ち分比率10~30%、投資先から数社を上場させる意向だ。

「上場時の時価総額が大きくなる見込みのある市場に投資を絞ります。以前まではとにかく上場させることを目指していました。競合に負けるか、売上の伸びが止まった時点で手を引くという基準も設定しました」(同氏)

 株主還元については継続的な配当を目指す。23年12月期期末配当額は5円を予定している。


 

2022年12月期 連結業績

売上高

25億9,700万円

18.3%増

営業利益

-2億1,000万円

赤拡

経常利益

-1億7,400万円

赤縮

当期純利益

-3億4,100万円

赤拡


2023年12月期 連結業績予想

売上高

27億2,000万円

4.7%増

営業利益

1億6,000万円

黒転

経常利益

1億6,000万円

黒転

当期純利益

1億6,000万円

黒転


※株主手帳23年12月号発売日時点




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