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ダイハツディーゼル【6023・スタンダード】


世界の海運を支えるパワーサプライカンパニー

大変革の船舶市場でデジタル化・脱炭素化を推進


 ダイハツディーゼルは、船舶用の動力・発電用、陸上の病院や空港の常用・非常用電源、非常用ポンプ等の各種産業用エンジンを手掛ける専業メーカーだ。グループで設計・開発から製造、メンテナンスまで一貫したビジネスを展開。主力の船舶向けは顧客の半数超が中国等の海外メーカー向けだ。近年、販売後30年に及ぶエンジン稼働期間中のサポートを拡充。また世界的な脱炭素化の流れの中、CO2削減を可能とする次世代燃料のエンジン開発にも注力している。

 

堀田 佳伸 社長

Profile◉ほった・よしのぶ

1966年1月生まれ、近畿大学卒業。88年4月ダイハツディーゼル入社。2017年3月 守山工場長兼製造部長、6月取締役、18年6月取締役常務執行役員、19年6月代表取締役副社長を経て、20年6月代表取締役社長就任(現任)。




 

ダイハツ工業グループ関連企業

船用エンジンが売上高の約80%



 ダイハツディーゼルは、創業から115年以上続く産業用ディーゼルエンジンのオリジナルメーカー。同社は1907年創業のダイハツ工業の船舶用、汎用ディーゼル機関の製造を担っていた大阪事業部が66年に分離し設立。現在、ダイハツ工業はグループ関連企業となっており、同社へはアルミホイールを提供している。

 現在、大阪府大阪市の本社の他に国内にグループ会社9社、世界23カ国の主要都市や港湾に販社4社と代理店を含め37拠点でグローバルに展開している。

 事業セグメントは、舶用エンジンが売上比率で約80%、陸用エンジンが約15%、その他が約5%。主軸の舶用は、船主や造船所向けに推進用・発電用エンジンを提供。陸用では、ビルや病院、空港、離島などに設置する常用・非常用発電用エンジン、雨水ポンプや河川流域の揚排水ポンプ駆動用のエンジン等を製造、販売している。

「船舶用エンジンのお客様は、売上ベースで海外が55%と半数以上を占めています。特にアジア向けが多い。世界の造船受注量は1990年代までは日本が多かったですが、今は中国が世界の約50%を占め、伸びています」(堀田佳伸社長)

 そのほか、産業機器製造や不動産賃貸、太陽光発電設備の売電事業等も手掛けている。

 24年3月期第1四半期連結業績は、売上高は176億2600万円(前年同期比25・2%増)、営業利益は4億5000万円(同3・2%増)で着地した。

 24年3月期通期連結業績予想は、売上高は760億円(前期比5・4%増)、営業利益は30億円(同16・7%減)の見込みだ。

 同社の強みは、顧客の希望に合わせて設計・開発・生産・販売し、保守サービスまで行う技術力にある。生産拠点は1969年からの滋賀県守山工場に加え、2018年から兵庫県姫路工場で大型機関の生産を開始。中速ディーゼル機関の低出力から高出力まで多様なラインナップを揃え、大型外航船補機市場で国内48%、世界27%のシェアを有している。



運航中の船をモニタリングし

メンテナンスを収益の柱に


 長い歴史を持つ同社はアフターサービスによるストック収益も積み上がっている。エンジンは販売後にも30年程度、稼働される。そのため、15年前に150億円程度だったメンテナンス関連の売上高は300億円まで拡大。24年3月期第1四半期ではメンテナンス需要が好調で売上高、利益を押し上げた。

「今は船のドック、陸上施設でも点検や修理などを担う人員不足が深刻化 している。そのため、『部品も作業も一括で任せたい』というニーズもあり、包括的なサービスメンテナンスを請け負うことも考えています」(同氏)

 また、新たな収益の柱として期待しているのが、通信衛星によるモニタリング・メンテナンスシステムだ。また近年、自動車ではセンサリングやコネクテッドカーの普及で、運転支援だけでなく完全自動運転の実現も目前に迫っている。一方、海上ではいまだに「機械装置だけを販売し、あとは船員さんの五感なり、経験で運用してもらっていました」(同氏)

 そこで現在、日本海事協会が機器メーカー各社と共同開発したモニタリング・メンテンナンス支援システム「ClassNK CMAXS」を使用し、各種サービスを開発。運航中のエンジンをモニタリングし、わずかな変化でも早期に危険を予知したり、タイムリーに最適なメンテナンスを促すデジタルサポートを今後の成長戦略の一つに位置付けている。

「今、お客さまと繋がるためのアプリや、AIを活用したお客様への営業提案ツールを開発しています。デジタル技術で新たなお客様価値を上げるサービスを提供していく」(同氏)




カーボンニュートラル実現へ

次世代燃料対応を研究


 同社の主戦場となる船舶業界は、50年のカーボンニュートラルの実現が必須となっている。国際海事機関(IMO)下の海洋環境保護委員会(MEPC)は、30年までにゼロエミッション(温室効果ガスを排出しない)燃料等の使用割合を5~10%に、輸送量当たりのGHG排出量を08年比40%削減、50年には50%削減を行う目標を掲げている。

 同社はすでに環境負荷が小さいデュアルフューエル機関を販売しているが、さらにカーボンフリーとなるメタノール、アンモニア、水素等の新燃料によるエンジン開発を進めている。しかしそれぞれメリットとデメリットがあり、どの燃料にリプレイスされていくか、まだ不透明な状況だ。

「『今は一旦LNGから作れるメタノール(グレーメタノール)を使って、将来はアンモニア燃焼や水素燃焼エンジンにしたい』というお客さまもいらっしゃいます。そのため、あらゆる燃料に対応できるように開発を行っていかざるを得ない状況です」(同氏)

 同社は、新たに新燃料を試運転できる工場の増設や、産学官との共同研究など、研究開発や人的資本への投資を積極的に進めている。大変革が急がれる船舶工業市場で、競争優位性のある独自のポジション構築を目指していく。

※デュアルフューエル機関:ディーゼル機関技術とガス機関技術を融合し、重油とLNGなどの2種類の燃料ガスを切り替えて運転可能なエンジン。ガスモードで従来機関比NOx80%カットが可能


 

2023年3月期 連結業績

売上高

721億1,300万円

25.2%増

営業利益

36億100万円

72.1%増

経常利益

36億6,000万円

46.0%増

当期純利益

29億4,800万円

49.8%増


2024年3月期 連結業績予想

売上高

760億円

5.4%増

営業利益

30億円

16.7%減

経常利益

30億円

18.0%減

当期純利益

31億円

5.2%増


※株主手帳23年11月号発売日時点




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