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ジェイ エイ シー リクルートメント【2124・プライム】ミドル・ハイクラス特化の人材紹介


150チームを編成し多様な業界を網羅

3期連続2ケタ増収増益見込む


ミドルからハイクラス人材に特化した人材紹介を行うジェイ エイ シー リクルートメントが好調だ。今期2023年12月期は売上高が前期比13.7%増の346億円、営業利益は同14.3%増の80億5000万円と2期連続で過去最高収益更新を見込む。同社は特定業界に限定せず、広範囲に事業を展開する。その大半は成長市場だ。なぜ事業展開が可能なのか。同社の沖野俊彦取締役に話を聞いた。


 

沖野 俊彦 取締役管理本部長

プロフィール◉おきの・としひこ


1970年3月生まれ、京都府出身。93年、同志社大学商学部卒業。2000年メモリーテック入社。08年パシフィックホールディングス入社。09年エムティーアイ入社。18年同社上席執行役員財務法務本部長兼財務・経理部長就任。19年ジェイエイシーリクルートメント執行役員CFO。23年同社取締役管理本部長兼CFO就任(現任)、JAC International取締役就任(現任)。

 


 

英国創業で外資系に強み

年間求人案件数は4・5万件


 同社は中高価格帯で管理職、専門職の人材紹介業を主力事業としている。企業と求職者の仲介を行い、求職者の入社後にクラスなどにより35~45%の成功報酬をもらうビジネスモデルだ。例えば年収1000万円の人材の場合、報酬は350万円となる(下図)。

「扱っているのは管理職、経営層や医師と看護師以外の専門職。製造業からIT、メディカル、金融、サービスなどあらゆる業界・業種を網羅しています。コアは年収800~1000万円台。中高価格帯でプロフェッショナルに特化し、1000名以上のコンサルタントを抱えているのは、日本で当社のみです」(沖野俊彦取締役管理本部長)

 同社は1975年にイギリスで創業。英国・シンガポールなどに拠点を持ち、海外進出する日系企業向けバイリンガル人材紹介で成長してきた。国内事業は1988年にスタート。日本では35年間、現在約4万5000件の求人案件を扱う。管理職・スペシャリストを中心に、グローバル展開する国内および海外企業に強みを持つ。




転職市場も拡大

今期予想・配当を上方修正


 前期2022年12月期は売上高が前期比22・5%増の304億3500万円、営業利益は同21%増の70億4400万円と大幅増収増益で着地。業績は過去最高を更新した。今期も売上高が前期比13・7%増の346億円、営業利益は同14・3%増の80億5000万円と2期連続で過去最高収益更新を見込む。

「好調要因の背景として、人材不足もあり市場が伸びていることが挙げられます。2000年以降、終身雇用が崩壊し企業も働き手も転職という選択肢ができた。多様性の時代、企業でも多様な人材が求められるようになり、近年は大企業にも転職が広がっています」(同氏)

 人材紹介業の国内市場は約3500億円で前年度比18・6%増(2022年度矢野経済研究所調べ)。同社はその波に乗り順調な成長を見せる。足元ではデジタル領域での需要が伸びているという。




チーム組成は〝ブロッコリー型〟

企業・求職者双方を一人で担当


 ITや医療と業界を絞る人材紹介会社が多い中、同社がオールラウンドかつ専門的な紹介ができる強みを持つ。可能なのは産業ごと・テーマごとに細分化された150のコンサルタントチームがあるからだ。時代のニーズに合わせ、チーム数は更に拡大している。

「例えばフィンテック専門チームがあったとして、その中でセキュリティに需要がありそうだとわかるとセキュリティチームも作る。元のチームからセグメンテーションできるところを切り出し、ブロッコリーの房を増やすように、どんどん専門に特化させていきます。広く浅くではなく、市場を深耕すること意識している」(同氏)

 同社は企業と求職者の双方を一人のコンサルタントが担当する(図参照)。

「優秀なコンサルタントは担当企業と密接し、新規事業の情報などを得れば求人票が出る前に動くことも度々あります。求職者側では、分野ごとに活躍できそうな人材“いい人リスト”を、コンサルタント一人につき100人作るように言っています。求職者と電話やメール、食事などで交流を保ち、最適な人材をいいタイミングで紹介できるようにしています」(同氏)

 企業側と求職者側で別の担当者がおり、システマティックなマッチングで数十名紹介する人材紹介会社もあるが、企業が求める条件から外れていることも多いという。一方で同社は、厳選人材を絞り込み、精度の高い紹介をしている。

「業界で省力化や件数拡大のためAIマッチングなどが進出してきていますが、課長職以上のポジションをAIで選べるかといえば難しい。アナログですがAIが入り込めない領域で勝負しています」(同氏)

 同社コンサルタントは基本的に仕事の進め方などは任されているが、週次の面接・訪問件数など数値目標は厳格に定められている。

「コンサルタントには月に1件成約していこうと言っています。年間成約件数は一人当たり8~10件です」(同氏)

 求職者のデータベースは約120万人。母集団形成は主にWebでの応募で、月に4000人の新規登録がある。またセミナーを行い、意識の高い求職者を確保している。2022年度の年間契約数は9700件を数える。




配当性向60~65%を維持

25年12月期売上高527億円へ


 同社は中期経営計画の最終年度となる2025年12月期には売上高527億円、純利益89億円、コンサルタント数2000人を目標に掲げる。

22年頃から浜松や東北など地方拠点を広げています。こうしたエリアには、地場産業や大手の研究所などの需要があります。また、海外展開やコンサルタントの採用・育成も積極化しています。中長期的な成長戦略を社内で描いていますが、近々発表できればと思います」(同氏)

 IRも強化していくとし、投資家との面談件数も増加している。配当性向は60~65%を維持していく構え。今期は10円増配の年間配当90円を予定する。





MEMO

総務省統計局によると、2022年の転職者数は303万人。前年はコロナ禍の影響もあり290万人と減少したが回復傾向にある。国内の転職者数は、06年頃を346万人をピークに、リーマンショック以降減少した。11年以降は徐々に増加、19年の353万人と過去最多を更新した。



 

2022年12月期 連結業績

売上高

304億3,500万円

22.5%増

営業利益

70億4,400万円

21.0%増

経常利益

70億5,200万円

21.3%増

当期純利益

50億2,900万円

29.5%増


2023年12月期 連結業績予想

売上高

346億円

13.7%増

営業利益

80億5,000万円

14.3%増

経常利益

80億5,000万円

14.2%増

当期純利益

57億5,000万円

14.3%増

※株主手帳24年2月号発売日時点




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