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瑞光【6279・プライム】

衛生用品製造機メーカー


多軸制御技術活かした高性能機械に特化

低価格汎用品の海外勢と世界シェア争う



瑞光は、小児用・大人用紙おむつ製造機、生理用ナプキン製造機で国内90%以上のシェアを占める機械メーカーだ。海外展開にも注力しており、衛生用品製造機メーカーとして世界トップクラスの30%前後(推定)のシェアをもつ。23年5月には東証スタンダード市場からプライム市場へ移行した。今期から始まった第3次中計では重点戦略として収益性向上を掲げ、デジタルツインに本格的に取り組む。


 

梅林 豊志 社長

プロフィール◉うめばやし・とよし

1963年生まれ。86年大阪産業大学機械工学部卒。90年瑞光入社。2002年設計部長、03年取締役設計部長、09年瑞光(上海)電気設備有限公司董事(現任)、18年代表取締役副社長執行役員COO、20年代表取締役社長CEO就任(現任)。





 

顧客は衛生用品メーカー

国内首位、海外約30%シェア


 瑞光は、ユニ・チャームや花王、大王製紙といった衛生用品メーカーに、紙おむつや生理用ナプキンの製造機を販売している。製造機は全長40~50mにおよぶ大型機。製造機は標準機も備えているが、顧客ごとに専用設計で開発することが得意だ。一台あたりの販売単価は小児用紙おむつ製造機が5~8億円、大人用が5~10億円、ナプキン製造機は3~4億円。売上は小児用紙おむつ製造機38・6%、大人用32・2%、ナプキンが14・4%で構成されている。

 同社の創業は1946年。61年に国内初のナプキン製造機開発に成功。続いておむつ分野にも進出し、小児用のパンツタイプおむつ製造機や、ナプキンの三つ折り・個包装ラインを世界に先駆けて開発。技術力で業界をリードしてきた。

 強みは、製造機1台あたり100~200台のサーボモーター(※1)を同時に制御する多軸制御技術。この技術で高スピード高クオリティの製品を生み出してきた。

 競合は80年代には国内に4~5社存在していたが、年々淘汰され、現在同社が国内90%超のシェアを獲得している。

 更なる市場を求めグローバル市場にも展開している。エリア別の売上構成比は、国内の20・5%を抜いて中国が36%、アジア24・6%、欧州9・9%、北米4・3%、中南米4・6%、アフリカ0・1%。世界市場では30%前後(推定)のトップレベルのシェアを獲得している。アメリカやイタリア、中国の企業10社ほどが追随する。

「中国では小児用紙おむつ製造機が非常に伸びています。昨年の中国での販売数は24台でトップシェアを獲得しています。ただ、10~15台販売の企業が4~5社あり、競合が多い地域です。中国も日本と同じように技術力の有無で多くの競合が淘汰されていくと見ています。アジアではインドネシアやベトナム市場の勢いがあり、ASEANやインド、西アジアの売上が伸び続けている。またナプキン製造機も世界中で伸長しています。特にインドはナプキン普及率が40%ほどでまだまだ伸びるマーケットです。また欧米では高付加価値商品へのシフトの流れがあり、戦いやすい状況です」(梅林豊志社長)

(※1)回転速度や回転位置を細かく制御できるモーター

 



「本来は利益率20%ポテンシャル」

デジタルでの完成形作りが肝


 23年2月期の売上高は、前期比12・4%増の265億500万円、営業利益は同16%減の18億300万円で着地。前期を最終年度とする第2次中期経営計画は、売上高目標260億円は達成したものの、営業利益率10%の目標は6・8%に留まり、未達となった。要因は中国市場での価格競争と、手戻り(機械組み立て後の修正・改造など)によるロスがある。

 10年代は国内おむつ市場が中国からの観光客の爆買いなどで伸びた。これにより、同社では技術の進化よりも量産重視の時期となった。技術の停滞によるロス発生に同氏は大きな危機感を抱いており、今期からの第3次中期経営計画では一つ目の重点戦略に機械事業の収益性向上を掲げる。製品の高付加価値化、海外市場の更なる開拓、コスト競争力向上に取り組んでいく。

「本来なら営業利益率20%のポテンシャルがある。手戻りによるロスを改善すれば、一気に収益性は向上します。日本では機械を実際に製造しトライ&エラーをしてきた歴史がありますが、欧米では設計段階で95%終わっています。当社も今後は製造情報のデータ化、デジタルツイン(仮想空間に現実の空間を再現する技術)が重要となってくる。仮想空間内で製品の完成形を作り、シミュレーションを済ませるところまで持っていきたい。そのために工場を移転し、下地をつくってきました。これからが本番。3次・4次の中計が集大成となります」(同氏)




新規事業の展開を加速

5分野で売上55億円目指す



 二つ目の重点戦略として新規事業への挑戦も掲げている。5事業で売上55億円を目指す。

「メディカル事業」では自社でマスクや創傷ケア製品を生産。「リサイクル事業」では使用済み紙おむつの燃料化装置に取り組んでいる。「介護事業」では排泄ケア商品を販売。上記3事業は今後、海外展開を加速させる。「DX関連事業」は新しい柱になりうる有力事業。多軸制御技術とデジタルツインを掛け合わせ、産業分野にアプローチしていく。「金属加工事業」では他社の部品加工の受託を開始した。

 株主還元に関しては、23年2月期は特別利益の発生・設立60周年記念を踏まえ、特別配当9円を上乗せした25・20円を配当。また株主優待も開始した。今後も配当性向30%を目標に安定的かつ継続的な成長を目指す。


▲衛生用品の製造機は全長40~50mに及ぶ


 

2023年2月期 連結業績

売上高

265億500万円

12.4%増

営業利益

18億300万円

16.0%減

経常利益

22億1,900万円

8.3%減

当期純利益

26億6,500万円

53.5%増


2024年2月期 連結業績予想

売上高

280億円

5.6%増

営業利益

28億円

55.3%増

経常利益

28億3,000万円

27.5%増

当期純利益

20億円

25.0%減


※株主手帳23年9月号発売日時点




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